研究課題/領域番号 |
24650559
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上田 昭子 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 技術職員 (30597836)
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研究分担者 |
外輪 健一郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00336009)
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キーワード | ものづくり教育 / 自動滴定装置 / 中和滴定 |
研究概要 |
本研究では、化学分野におけるものづくり教育手法の1つとして、化学で活用する各種装置や器具を設計、製作させる取組を行っている。前年度は、沈降式粒度分布測定装置の開発を題材とした取り組みを実施し、その有効性を確認した。平成25年度は、工学部化学系学科の1年生を対象として、自動滴定装置の設計と製作を行う取組を行った。被験者は4名の新入生とした。未知濃度の塩酸を既知濃度の水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、濃度を得るという操作を自動化することを目的として与えた。まずガラス器具で手操作による中和滴定を詳しく観察させ、その後自動化の方法についてディスカッションを行った。被験者からは、水酸化ナトリウム水溶液の滴下方法、および終点の検出方法などに関して様々なアイディアが提案された。これらのアイディアを集約して自動滴定装置を構築し、実際に未知濃度の塩酸の中和滴定実験を行った。この測定結果を手操作の結果と比較すると、誤差は4%程度となることが分かった。さらに,実験終了後に誤差の原因や、装置性能について議論を行った。装置の長所および短所について多様な意見が出された。 設計、製作、実験、評価のいずれの段階においても被験者らは積極的に発言し、また改良点についても多くの意見が出された。滴定といった新入生が良く理解している実験操作を題材としてとりあげれば、工学部化学系学科における導入時のものづくり教育手法として有効であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究は計画通りに進行している。当初計画していた自動滴定装置の開発プロジェクトを実施し、良好な結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は当初の計画ではCOD測定装置の開発を行う予定であったが、これまでの作業内容や進捗速度に基づいて検討した結果、測定のための操作が多いため初学者を対象としたものづくり教育の題材として不適切である可能性が予見されている。研究チームで妥当性を慎重に検討したうえで、プロジェクトを開始することとする。不適当と判断された場合には、酸化還元滴定装置、安全ピペッター、流量計などの作製を代替のテーマとして取り上げることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、本年度の学会発表のための旅費が予想額を下回ったために生じた。 繰越額は次年度の装置作製に必要な経費の一部として活用する。特に被験者の補助を行う大学院生を増員し、より手厚く被験者の指導、助言を行える体制を構築するために活用する。
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