研究実績の概要 |
我が国の大学においても,GPA制度が導入され,これまで単位取得という学修の“量”だけに着目しがちであった大学の成績評価を,その“質”も重んじるという効果をもたらしている.一方で,GPAを下げることにつながることを避けるために,学生がとる履修行動(成績評価が厳しい科目の履修回避など,履修科目数の自主制限)が問題になってきている.つまり,GPAシステムには,学修意欲を向上させる正のインセンティブと負のインセンティブをも含んでいる.そこで,本研究では,野球における打者成績の質(単長打・凡打等)と学業成績の質とのアナロジーに着目し,野球選手評価数理理論セイバーメトリクスの着想を,大学における成績評価へ適用し,GPAに代わる新しい成績評価指標を提案するとともに,その有効性を検証した.目的を達成するために,基礎技術としてマルコフ連鎖,マルチエージェントシミュレーション技術と行動経済学を利用し,次の3つの手順:①評価手法の確立,②提案評価指標の評価,③提案評価指標の適用・検証・まとめ,で研究を推進した.主要な研究成果は以下の通りである.
■前田,内田,奥田:新型成績評価指標の提案と学修行動シミュレータの開発,日本教育工学会研究報告集,vol. 14, no. 1, pp. 209-216, 愛知工業大学,2014/3/1. ■土井,奥田,井手口,田:ソフトウェア信頼度成長モデルによる学習者特性を考慮した原稿作成指導手法の検討,情報処理学会 コンピュータと教育研究会,vol. 126,no.2,pp1-6,奈良女子大学,2014/10/29. ■田中,宇都宮,奥田:サーバー能力成長型VCHS待ち行列モデルを用いた講義課題処理過程の定量的評価‐大学生のアカデミックスキル教育のために‐,第77回情報処理学会全国大会,6ZC-05,京都大学吉田キャンパス,2015/3/19.
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