研究概要 |
今年度は,交付申請書に記載した「研究実施計画」のうち以下の2点を中心に行った。 (1)高齢者の使いやすいコンテンツデザインの調査と事例研究の収集:福祉工学関連分野,健康科学関連分野および,ユニバーサルデザインの領域の学術論文を収集,レビューし,本研究の基盤となる教育工学・健康科学・福祉工学の観点から見た教育用のメディアデザインのための理論的枠組みを探索した。関連図書や学術論文に関する研究資料は,データベース化し,共有し,基礎資料の有効活用を行った。また,ここで作成した理論的枠組を仮説として,2 年間の研究への取り組みを通じて,高齢者の体力向上・維持応える支援環境の理論的枠組みを検討した。 (2)お散歩ナビの暫定的な画面のデザインとキネクトを用いたセンシングシステムの開発と予備実験の実施:大学生を被験者としてシステムのインタフェース,安定性等について検討した。被験者は大学生である20名とする。実験データは,ユーザビリティの適否,コミュニケーションからの動機付け,画面デザインの効果,健康科学の観点から評価した。予備実験では,インターフェースデザインの精緻化,システムの精度の向上,安定性の確保等,詳細なチューニングを中心に実施した。次に,大学生を対象とした実験の成果を踏まえ,本システムを改良し,実際に高齢者を被験者として、パイロットスタディを実施した。中間研究成果発表・中間まとめとしては,ヒューマンインタフェース学会シンポジウム,日本教育情報システムにおいて,レビューおよび理論的枠組と予備実験の結果などを発表した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の実施計画は以下である。 (1)高齢者の使いやすいコンテンツデザインの調査と事例研究の収集(代表:楠,分担:稲垣,岡田)25年度も引き続き,福祉工学関連分野,健康科学関連分野および,ユニバーサルデザインの領域の学術論文を収集,レビューし,本研究の基盤となる教育工学・健康科学・福祉工学の観点から見た教育用のメディアデザインのための理論的枠組みを探索する。 (2)複数の高齢者の利用に対応したネットワークプロトタイプシステムの実現(代表:楠)24年度に行った予備実験とパイロットスタディの評価分析の結果に基づいて,コンテンツ,システムの改善点を明確にするとともに,拡張の可能性も検討し,改訂版システムの設計・開発と実装に取り組む。開発の焦点は,第2回目では,高齢者の多様性に対応すること,人数が増え,時間も延びることを考慮し,配置するキネクトの配置の工夫,連続稼働時間の可能性を図る。 (3)高齢者を対象とした本実験・検証・分析(平成25年度:代表:楠,分担:稲垣,岡田)ネットワーク型システムでの実験から得られたデータを総合的に分析する。実験は,神戸大学において実施する。高齢者40名程度を被験者とする。本実験で得られた数量的データとしては,ユーザビリティの適否,コミュニケーションからの動機付け,画面デザインの効果,体力向上等の健康科学の観点から評価する。アンケート・ビデオ等のデータを検討し,有効性と改善点を明らかにする。自由記述等の主観的なデータは,テキストマイニング等の手法を用いて整理を行う。評価分析の結果は,国内外の国際会議や学会に論文投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)設備備品費:平成25年度に設備備品費に計上した1台のノートパソコンは,開発システムのネットワーク実験に用いる予定である。 (2)消耗品費:関連書籍は,最近の開発用のマニュアルと研究参考図書を中心に購入する(毎年10,000円/1冊*10冊程度を想定する)。その他消耗品としては,USBメモリ,CD/MD,プリンタ関連消耗品などを対象に,毎年100千円を予定する。 (3)旅費:国内旅費については,24・25年度に神戸大学と多摩美術大学での実験打ち合わせと学会への参加を予定している。海外旅費については,20万円~40万円/人/回を平均額として算出した。 (4)謝金:25年度に実験を行う予定であるので,実験謝礼も予算化している。 (5)その他:論文投稿費,資料印刷費,実験機材運搬費も実験や成果の発表のために必要である。
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