研究実績の概要 |
本研究は,足腰が弱った高齢者のための運動機能の維持・増加と「転倒防止」を目的とした,室内で自分の動作によって変化する画像を見ながら継続的に運動を続けられる「お散歩ナビ」システムのデザインである。研究期間における実施と成果について以下の3点にまとめる。 ①高齢者の使いやすいコンテンツデザインの調査と事例研究の収集:福祉工学関連分野,健康科学関連分野および,ユニバーサルデザインの領域の学術論文を収集,レビューし,本研究の基盤となる教育工学・健康科学・福祉工学の観点から見た教育用のメディアデザインのための理論的枠組みを探索した。 ②お散歩ナビの画面のデザインとキネクトを用いたセンシングシステムの開発と予備実験の実施:本研究では,pcとマイクロソフト社Xbox360キネクトを用いて動きを感知するシステムの開発と高齢者にも楽しめるコンテンツのデザインを行った。予備実験では,インターフェースデザインの精緻化,システムの精度の向上,安定性の確保等,詳細なチューニングを中心に実施した。神戸大学生を対象とした予備実験を行った。予備実験の評価分析の結果に基づいて,コンテンツ,システムの改善点を明確にした。また改訂版システムの設計・開発と実装に取り組んだ。開発の焦点は,高齢者の多様性に対応すること,人数が増え,時間も延びることを考慮した。 ③最終実験は,神戸大学において実施した。高齢者7名(男女)を被験者として,実験に参加してもらった。本実験で得られた数量的データは,ユーザビリティの適否,コミュニケーションからの動機付け,画面デザインの効果,体力向上等の健康科学の観点から評価した。アンケート・ビデオ等のデータを検討し,有効性と改善点を明らかにした。自由記述等の主観的なデータは,テキストマイニング等の手法を用いて検討を行った。改善した内容をもとに論文にするために検討を行い、投稿の準備をすすめている。
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