研究課題/領域番号 |
24650571
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
鎌田 洋 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (20569884)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 双方向授業 / 画像処理 / カード |
研究概要 |
学校教育の一斉授業において履修学生が選択的にカードを挙げた風景を画像処理して得た認識情報をもとに、教員と学生の双方向コミュニケーションを活性化する方式について研究を実施した。初年度は、開発用システムの一次構築とともにカード仕様の改良を行った。前年度に試作したシステムに認識プロセスの各段階の処理データを可視化するツールを組み込み、誤認識の場合に認識プロセスのどの段階で失敗したかを明らかにできるようにして一次の開発用システムとした。この一次の開発用システムを用いて、試作システムの画像処理のプロセスとカードを改良した。試作システムにはカード認識のために大きく2つの問題があった。第1の問題はカードの色を正確に識別することである。第2の問題は教室で広く散在した色つきカードを捉えることである。第1の問題を解決するためには、カードに白と黒の2色の枠を付け、カードの内部色が背景と混在しないようにしたうえで、定めた仕様のカードを風景画像から抽出する画像処理方式を開発した。まず入力画像から抽出した黒領域について外部輪郭が四角形かつ内部色が該当色の場合にカードと判定するようにした。また、使用環境におけるカードの色を登録する色キャリブレーション技術を開発した。第2の問題を解決するためには、試作システムが1台のカメラのみで画像入力するのに対して、2台のカメラからの入力画像を処理するシステムに拡張したうえで2枚の画像の処理結果を統合する処理を開発した。以上のように、初年度は、改良したマーカーを抽出する画像処理技術、色キャリブレーション技術、複数カメラを利用したカード抽出技術を開発することで、試作システムの2つの問題を解決してシステムを改良した。比較実験の結果、初年度の研究により、本システムのカード認識率が前年度の試作システムの認識率を上回ることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に、前年度に開発した試作システムに、認識プロセスの可視化処理を組み込むことにより一次の開発用システムの構築を行えた。第2に、一次の開発用システムを用いて、カード仕様の改良と対応するシステムの認識方式の改良を実施できた。この結果、初年度の目標である一次の開発用システムの構築と、教室の色と混在しないカード仕様の選択と対応するシステムのカード認識方式の開発を実現でき、認識実験により有効性を実証できた。以上から研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に開発したシステムを基にして、実際の教室授業での使用を想定した評価実験用システムを構築して、カード認識実験を行い、誤認識の分析、原因究明、認識方式の改良を繰り返す。この際に一次開発用システムにおける誤認識の可視化機能を拡充して完成版の開発用システムを構築する。システムの改良にあたっては、特に、位置や時間で変化するカード色を認識できるように色キャリブレーション処理部を改良する。
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次年度の研究費の使用計画 |
開発用システムと評価実験用システムの構築のために、必要な備品としてパーソナルコンピュータ、画像入力用機器(カメラ、三脚)を購入する。カードの作成のために、印刷機材、印刷材料を購入する。その他、資料購入、出張旅費、学会参加のために使用する。
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