研究課題
学校教育の一斉授業において、教員の問いかけに対して学生が選択的にカードを挙げた教室風景を画像処理して得た認識情報をもとに、教員と学生の双方向コミュニケーションを活性化する方式について研究を継続した。最終年度は、授業現場である教室での実証用システムを構築するとともに、実際の授業での運用方式の構築と最終評価実験を行った。このために、カードにプリンタ色以外の蛍光色や色上質紙を用いた比較実験を行い、実験結果を用いてカードの仕様を確定した。2年目のカードは、周囲に同様な色がある場合に対応するために、カードを色部分の周囲に黒枠を設けた仕様であったが、照明に対してカードが反射する場合やカードが遠方の場合はカードの黒枠の検出に失敗するケースがあった。そこで、3年目は、反射しにくい黒上質紙の台紙に、照明によらず色が安定している蛍光紙を貼ったカードの仕様に改良した。カードの仕様の変更に対応して画像処理方式も変更した。この結果、教室(A)において机の上にカードを設置した予備実験において、2年目システムのカード検出率は64%であったが、3年目システムのカード検出率は99%に向上した。授業で学生が挙げたカードの集計値については、教室(A)よりも小さい教室(B)における2年目システムのカード検出率は70%であったが、教室(A)における3年目システムのカード検出率は93%に向上した。本システムの役立ち度に関する学生へのアンケートでは、2年目システムについては、「役立つ」と回答した学生が33%であり、「役立たない」と回答した学生は28%であったが、3年目システムについては「役立つ」と回答した学生が39%と増加して、「役立たない」と回答した学生は14%と半数に減少した。本システムを授業に使用した結果、教員と学生が学習効果、学習意欲の集計値を即座に確認することができるようになった。
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ICIC Express Letters, Part B: Applications (An International Journal of Research and Surveys)
巻: Vol.6, No.4 ページ: 919-926