レスポンスアナライザは学習者個々の理解度を把握しながら授業を進める上で極めて有用であるが、有線方式の場合、配線制約から使用される教室が制限されることが解決すべき課題である。そこで、本研究では、無線センサネットワークに着目したレスポンスアナライザを試作し、その実用可能性について実験的に評価を行うことにした。 24年度は、見通し距離で数十mの無線通信を可能とするZigBee方式の無線モジュールを用い、クラス定員40名程度の一般教室におけるデータ収集については十分通信可能であることを実験的に確認した。さらに、数台の無線モジュールを用いた小規模無線ネットワークシステムの立上げと通信品質の改善についても実験的に評価し、その成果については関係学会で報告した。 25年度は、1クラス40名程度を想定し、SP分析を主とする授業分析機能を備えたシステムを立上げ、実際の運用環境において、更に評価を重ねた。親機には1個のZigBeeモジュールをUSB接続したウインドウズパソコンを用い、その機能として、子機からのデータ収集と、学習支援や授業分析に有用なデータ分析・表示をリアルタイムで行う機能をい実現し、また、システムの改良や機能拡張などを容易にするため、親機の機能についてはすべてExcel_VBAにより実現した。 26年度は、子機に多肢選択式の回答機能だけにとどまらず、実験データを直接収集可能とする機能を付加した。また、量産を容易にするため、Arduinoマイコンに変更した。 以上のように、無線ネットワークとArduinoマイコンによる子機、Excelによる親機の機能を実現することにより、レスポンスアナライザシステムを構成できた。今後は、このプロトタイプの応用研究として、創造性涵養教育などの新しい教育方法の開発が重要になる
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