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2012 年度 実施状況報告書

青銅器の放射性炭素年代測定に向けた基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 24650586
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関名古屋大学

研究代表者

小田 寛貴  名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助教 (30293690)

研究分担者 山田 哲也  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80261212)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード年代測定 / 青銅器
研究概要

青銅器の放射性炭素年代測定を確立するためには,以下の3つの課題を実施する必要がある.すなわち,青銅器に発生した緑青から炭素を抽出する「緑青の化学処理法の開発」,緑青に含まれる炭素が形成時の大気中炭素を保持していることを示す「緑青の安定性の実証」,考古学的年代既知の青銅器資料への適用による「青銅器に対する放射性炭素年代測定の有効性の実証」である.
本年度は,「緑青の化学処理法の開発」を実施した.まず,処理法の開発に必要となるDead carbonに富む緑青の合成を試みた.原料の合成法等を考慮し,緑青の合成には硫酸銅と炭酸ナトリウムの反応を採用した.得られた緑青の放射性炭素年代測定を行った結果,14290~14800BPという結果が得られ,処理法の開発に利用できる合成緑青であることが示された.この緑青を用いて,緑青から炭素を二酸化炭素の形で抽出する条件を求めた.その結果,真空中において,250℃以上かつ1時間以上加熱することで,緑青中の炭素が二酸化炭素に変換されることが判明した.以上の結果を元に,「まず,パイレックス管中に緑青を真空封入し,250℃で2時間加熱し,二酸化炭素に変換する.次いで,この二酸化炭素を精製し,水素によって還元することで年代測定用のグラファイトを合成する」という緑青の調製法を開発した.
また,電子プローブマイクロアナライザーによる観察及び定性分析を実施した.その結果,試料は均質ではなく銅炭酸塩鉱物以外に4種の(主にCuが検出される相,CuとCaが検出される相,Pbが検出される相,Si・Al・Mg等が検出される相)が確認され,より高収率・高精度の試料調製では,各相の分離をする必要性が示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の実施予定であった「緑青の化学処理法の開発」は,「パイレックス管中に緑青を真空封入し,250℃で2時間加熱し,二酸化炭素に変換する.次いで,この二酸化炭素を精製し,水素によって還元することで年代測定用のグラファイトを合成する」という具体的な化学処理法が開発されたことで達成された.また,次年度以降の計画である鉱物・考古学資料の年代測定についても資料収集・予備実験が行われている.

今後の研究の推進方策

H25年度は,緑青に含まれる炭素が形成時の大気中炭素を保持していることを示す「緑青の安定性の実証」を推進する.そのため,孔雀石・藍銅鉱など鉱物資料についての年代測定を行う.なお,これら鉱物資料の一部はH24年度に収集済みである.H26年度は,考古学的年代既知の青銅器資料への適用による「青銅器に対する放射性炭素年代測定の有効性の実証」を推進する.そのため,考古学的な年代の判明している青銅器に付着した緑青を採取し,その放射性炭素年代を測定する.これら考古資料の一部についてもH24年度に収集済みである.

次年度の研究費の使用計画

H24年度末に役務提供を計画していたが,繁忙期であったため,より低料金の閑散期であるH25年度前半へ変更した.直接経費次年度使用額分は,主にこの役務提供に使用し,H25年度の研究費は当初の計画通りに使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 青銅器の14C年代測定-その可能性と研究計画について-

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴
    • 学会等名
      第25回(2012年度)名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学野依記念学術交流会館(名古屋市)

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公開日: 2014-07-24  

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