本研究では、青銅鏡に含まれるFeやNiなどの磁性不純物が作る微弱な磁場の強度や分布を計測する手法を提案し、その検証を行った。超伝導量子干渉素子(SQUID)と呼ばれる高感度な磁場センサとXYステージを組み合わせたスキャニングシステムを開発し、青銅鏡の磁場計測を試みた結果、直径約82mm,厚さ約8mm(縁高)の青銅鏡の表面で±100nT程度の磁場強度分布が得ることができた。これにより本手法が非破壊的な青銅文化財の分析ツールの一つして有効なことが確認できたとともに、青銅品以外の考古遺物の残留磁場計測にも有用であることが期待される。
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