日本列島周辺の東海沖,熊野沖,新潟沖の3海域の陸域近傍の深海底(水深500~2000 m)で採取された泥質堆積物試料の鉛同位体(Pb-210)放射能濃度を測定し,過去50~100年程度の堆積速度を復元した. 陸域から流れ込んだタービダイト泥と半遠洋性泥質堆積物をPb-210濃度から判別することはできなかったが,各海域の試料において20世紀半ばに堆積速度がそれ以前の1/2~1/4程度に低下していることを見出した.堆積速度の低下とその海域に流入する大河川の巨大ダムの建設時期はよく一致し,陸域の人類活動(ダム建設)が深海の堆積環境に大きな影響を与えていることが推定された.
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