研究課題
NrkはX染色体にコードされた機能未知のプロテインキナーゼであり、当研究室ではNrk欠損胎盤においてスポンジオトロホブラスト細胞が過増殖して胎盤の過形成をきたすこと(J. Biol. Chem. 2011)、および妊娠・出産を経験したNrk欠損♀マウスにおいて高い確率で乳腺腫瘤が発症すること(未発表)を見出している。本研究課題では、胎盤の過形成に関し、Nrk欠損スポンジオトロホブラストにおいて細胞周期停止因子p27の発現が低下していることを見出した。したがって、Nrkはそのシグナル伝達の下流でp27の発現誘導あるいは分解抑制を促すことによりスポンジオトロホブラストの増殖抑制に働いていることが示唆された。乳腺腫瘤に関しては、昨年度までの予備的な実験結果として、乳腺腫瘤を発症したNrk欠損♀マウスにおいて血中および卵巣のエストロゲン濃度が著しく上昇していることを示唆する結果を得つつあった。そこで今年度、マウスの個体数を増やしてこの結果の再現性を確認した。また昨年度、授乳期および高齢の♀マウスの卵巣においてNrkタンパク質が発現していることを見出していた。そこで、Nrk欠損♀マウスの血中および卵巣エストロゲン濃度が上昇する分子機構を解明するため、卵巣におけるNrkの発現部位をin situ hybridization法と免疫組織染色法で解析した。しかし、卵巣の組織切片にNrk発現細胞を検出することはできなかった。したがって、卵巣におけるNrkの発現量はそれほど高くないと推測された。今後、さらに検出感度を上げる工夫をすることにより卵巣におけるNrk発現細胞を同定することが、Nrk欠損が血中エストロゲン濃度を上昇させる分子機構、ひいてはNrk欠損が乳腺腫瘤の形成を誘導する分子機構を明らかにする上で非常に重要である。
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http://www.komada-lab.bio.titech.ac.jp