研究課題/領域番号 |
24650611
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
WONG W・R 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (30464035)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 核膜孔複合体 / Rae1 / Nup98 / JARID1A / 白血病 / エピジェネティクス / トランスジェニックマウス / 転写因子 |
研究概要 |
真核細胞の核膜に存在する核膜孔複合体(NPC)は、30種類以上のNPCタンパク質で構成されており、核-細胞質間のRNA、及び、タンパク質の物質輸送を制御している。申請者らは最近、NPCタンパク質のRae1、及び、Nup98が白血病発症に関与することを発見した。これまでもいくつかのNPCタンパク質の異常が白血病患者で見つかっていたが、その理由は不明であった。一方、NPCタンパク質は重要な転写因子の輸送、及び、有糸分裂期での機能を持っているため、申請者はNPCタンパク質が白血病発症の際にエピジェネティックに寄与するのではないかと仮説をたてた。そこで、本研究ではNPCタンパク質‐ヒストン修飾による発がんのエピジェネティックなメカニズムを解析することを目的とした。 当該年度は、Nup98がgalectin-3の核ー細胞質間輸送に深く関与していることを見出し、発表した(Funasaka et.al.,BBRC,2013)。また、急性骨髄性白血病(AML)細胞中の染色体転座に多くみられるキメラ遺伝子Nup98/JARID1Aを発現するトランスジェニックマウスの作製を試みた。Nup98/JARID1A遺伝子を白血球細胞で特異的に発現させるため、ヒトカセプシンGプロモーターの下流にNup98/JARID1A遺伝子を挿入したトランスジーンを作製した。現在、トランスジーンをマウス受精卵に導入し、トランスジェニックマウスの樹立を行っている。さらに、ヒト白血病細胞株K562へGFP-Nup98、GFP-Nup98/JARID1A、及び、DsRed-Rae1発現プラスミドを導入し、それぞれの安定発現株を樹立した。今後、これら安定発現株を用いて、抗ヒストンH3メチル化抗体で免疫沈降を行い、NPCタンパク質とエピジェネティクス、さらには白血病発症へのメカニズムを解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に則り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に則り、今年度に予定している実験を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.トランスジェニックマウスの樹立に使用 2.ヒト白血病細胞株のGFP-Nup98、GFP-Nup98/JARID1A、及び、DsRed-Rae1安定発現株を用いて、抗ヒストンH3メチル化抗体で免疫沈降を行い、NPCタンパク質とエピジェネティクス、さらには白血病発症へのメカニズムを解析していくため、細胞培養に必要な消耗品、抗体、及び泳動やウェスタンブロットに必要な消耗品に使用予定である。
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