免疫で役割を果たすマスト細胞の増殖は、サイトカインとそれに対する受容体によって厳密に調節されている。そのため、それらの過剰発現や恒常的活性化変異は、マスト細胞を自律増殖に導き、マスト細胞腫瘍につながることが知られている。しかし、マスト細胞ががん化するプロセスはほとんど理解されていない。以前に、当研究室では、マウス脾臓からの複数のマスト細胞株を樹立しており、その中にマスト細胞腫瘍の特徴を持った細胞株を見出した。本研究では、マスト細胞の腫瘍化プロセスの理解を目的とし、マイクロアレイ解析と生化学的手法を組み合わせ、マスト細胞の腫瘍化に関与する因子の同定を試みた結果、いくつかの知見を得ることができた。
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