1. マウス大腸がん細胞株CMT93を用いた転移抑制因子スクリーニング 前年度のスクリーニングで得られた11個の転移抑制因子候補の中で、Hnrpll(heterogeneous nuclear ribonucleoprotein L-like)に着目し、転移抑制能の検証を進めている。In vivoの検証として、Hnrpllを安定的にノックダウンしたCMT93細胞のサブクローンを樹立し、マウスの直腸粘膜下に移植して転移能を評価する実験が進行中である。In vitroの検証としては、HnrpllのノックダウンがCMT93の増殖能・運動能・浸潤能に与える影響を評価し、増殖能が有意に亢進する結果を得た。一方、Hnrpllの転移抑制機序の解明を目的として、Hnrpllがpre-mRNAの選択的スプライシングへの関与が示唆されるRNA結合タンパクであることに着目し、Hnrpllと結合するRNAの同定を試みた。FLAG-HnrpllをCMT93細胞に強制発現し、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降を行い、Hnrpllと共沈したRNAをcDNAに変換後サブクローニングしてDNA配列を決定し、BLAST検索によって遺伝子名を同定した。現在、同定した各遺伝子について、Hnrpllのノックダウンによるスプライシングバリアントの発現変化を検証中である。 2. cis-Apc/Smad4複合変異マウス大腸がん由来初代培養を用いた転移抑制因子スクリーニング系の確立 cis-Apc/Smad4複合変異マウスの大腸がんのspheroid培養法を確立した。効率的なライブラリー導入方法について検討中である。 3. K-rasLSL-G12D/+マウスを用いた転移抑制因子スクリーニング系の確立 K-rasLSL/+;p53flox/floxマウスにアデノウイルスベクターを用いてCreを導入し、肺腫瘍の形成を確認した。
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