研究概要 |
主目的は悪性骨腫瘍に対し液体窒素処理した腫瘍組織が生体内に戻ると体内で腫瘍特異的な凍結免疫の活性を誘導し、結果として腫瘍の再発や転移の抑制を導くか追求することである。また、免疫賦活剤や免疫系細胞の併用を行い凍結免疫が最も活性化する方法を開発する。これらの基礎実験をもとに臨床で悪性骨腫瘍に対する液体窒素処理骨移植術による凍結免疫の活性を確認する。さらに液体窒素処理骨移植術に免疫賦活剤や免疫系細胞( 樹状細胞)の併用を行うことで凍結免疫と新たな悪性骨腫瘍に対する凍結免疫療法の治療体系を確立する。 基礎実験であるTNF-αを併用した樹状細胞療法の安全性試験を臨床試験で行う。前段階の樹状細胞培養 において培養6日目に液体窒素処理を行った腫瘍抗原とTNF-αを加えた群と強力な成熟を誘導するOK-432を加えた群の細胞形態の変化と樹状細胞の成熟度の上昇の確認を受けて、この1年で腫瘍抗原とTNF-αを加えた樹状細胞療法を用いて第1相臨床試験を遂行している。これまでに6名の患者に対し投与を行っており、現在経過観察中である。この腫瘍抗原とTNF-αを加えた樹状細胞療法を投与した患者の中には血清のサイトカイン(IL-12,IFN-γ)の上昇を認めたものが半数に、皮膚反応であるDTHの陽性例が4割に認めている。また、一例で肺転移の縮小を認めており有効例を確認している。 これらの結果から今後、液体窒素処理骨移植患者に樹状細胞療法を併用する方法を確立していく。
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