肺がんの初期診断方法の開発のために,様々な分析条件の試験を行った。その結果,多数のVOCsの定性や感度を上げることができ,少ない呼気の捕集量での試験が可能になり,がん患者への負担を大幅に軽減することができた。呼気の測定においては,食事による変化もなく,また長時間の飲食の制限も必要ないことがわかった。喫煙者の呼気中のベンゼンは,喫煙後から約6時間の経過で一般の値まで減少することが分かった。またメンソール煙草の喫煙者の呼気からはベンゼンやトルエンが高く検出され,特に注意すべきであると考えられた。また,加熱濃縮器を用いることで,低濃度域のVOCs中の炭素安定同位体比の高精度測定法が可能になった。
|