研究課題
癌細胞由来のエキソソーム小胞は複数の腫瘍免疫関連分子を内包しており、腫瘍マーカー探索の標的となりうる。Heat shock protein72(HSP72)は、エキソソームマーカーの一つとして広く知られており、なかでも癌細胞では細胞膜上の発現が報告されている。そこで、申請者の開発したHSP72複合体の包括的な単離・解析方法のエキソソーム単離法としての妥当性を評価し、多発性骨髄腫腫瘍マーカーの探索を試行した。前年度、肺癌、マクロファージ由来のエキソソームにHSP72が内包されていないことが明らかになったため、HSP72の発現亢進の知られる膵癌細胞について評価した。その結果、超遠心法で単離したエキソソーム中にHSP72を認めた。一方で膵癌培養上清に対してNHq法を行った結果、大量のHSP72が単離できた。したがって、NHq法は細胞外HSP72を効率的に単離できる一方で、エキソソーム単離はできないと結論付けた。この理由としてHSP72は小胞の膜上には発現していないこと、あるいはHSP72の細胞外領域にNHqを構成する抗体の抗原部位がないことが考えられる。そこで、NHqを構成するHSP72抗体9種類のエピトープマッピングを行った。一方、昨年度、多発性骨髄腫患者血清からマーカー候補として挙がった4分子のうち、2分子について、疾患特異性の評価をおこなった。しかし、結果は陰性であった。そこで、再度10例の患者血清に対してNHq法を施行し、プロテオーム解析を行った。新たに全員の血清中に認められたHSP72結合分子に関して、現在、疾患特異性を検証している。
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