研究課題/領域番号 |
24650640
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
益谷 美都子 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60238904)
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研究分担者 |
高村 岳樹 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50342910)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ポリ(ADP-リボース) / PARP-1 / 代謝物 / リボシルアデノシン / リボシルイノシン / マウス / 血液 / 尿 |
研究概要 |
質量分析法による測定系の至適化のために、まず以前作成した方法(Shimokawa, et al.,2009)で大腸菌を用いてヒトpoly(ADP-ribose) polymerase (PARP-1)のリコンビナントタンパク質を調製し、カラムクロマトグラフィーを用いてポリ(ADP-リボース)の大量調製を行った。これを用いてポリ(ADP-リボース)からリボシルアデノシン及びリボシルイノシンの標準物質を調製し、HPLC及びLC-MSで分析条件の検討を進めた。リン酸残基を放射能ラベルしたポリ(ADP-リボース)を調製した。マウス尾静脈から放射能ラベルしたポリ(ADP-リボース)を静脈注射後、代謝物の組織分布と分解を経時的に分析した。静注5分後には血液、肝臓、腎臓において酸可溶性の低分子画分に放射能の約50%が移行した。上記の放射能標識の場合、大部分の放射能はリン酸として検出された。Poly(ADP-ribose) glycohydrolaseによる分解産物ADP-リボースやpyrophosphatase による分解産物phosphoribosyl-AMP 及びAMPは検出されなかった。投与1時間後には尿中に代謝物としてリン酸が検出されることを見いだした。従ってポリ(ADP-リボース)は血流において速やかに代謝され蓄積が防がれていると考えられる。マウス血漿検体からのリボシルアデノシン及びリボシルイノシンのLC-MSによる分析の条件検討を行った。回収率をモニターできる内部標準物質を選定して、ほぼ至適化された方法を確立した。マウス尿検体からのリボシルアデノシン及びリボシルイノシンの分析条件の至適化も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リボシルアデノシン、リボシルイノシンの大量調製と質量分析法による測定系の至適化は大部分達成できた。マウス血漿検体からのリボシルアデノシン及びリボシルイノシンのLC-MSによる分析の条件検討を行い、ほぼ至適化された方法を確立した。マウス尿検体からのリボシルアデノシン及びリボシルイノシンの分析条件の至適化も進めている。 回収率をモニターできる内部標準物質を合わせて選定できた。
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今後の研究の推進方策 |
マウス尿検体からのリボシルアデノシン及びリボシルイノシンの分析条件の検討を進め、分析工程を決定する。マウスモデルでのリボシルアデノシン、リボシルイノシンの動態について放射線やDNA損傷後、血漿検体及び尿検体についての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はマウス尿検体からのリボシルアデノシン及びリボシルイノシンの分析条件の検討を進め、分析工程を決定し、まずマウスモデルでのリボシルアデノシン、リボシルイノシンの動態について放射線やDNA損傷後、血漿検体及び尿検体についての検討を行う。このために必要な消耗品と分析機器の部品、検体の収集と成果発表、論文作成に研究費を使用する予定である。
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