研究課題
初年度にはHsp72は白金系抗癌剤であるオキサリプラチン耐性に重要な役割を果たしていることを明らかにし、またHsp72のシャペロン機能を利用したHsp72結合分子の包括的相互作用解析によりオキサリプラチン耐性株特異的なHsp72結合分子を見出した。本年度は、オキサリプラチン耐性株特異的に同定されたHsp72結合分子の1つであるStromal cell derived factor 2 (SDF2)について着目した。SDF2はシグナルペプチド、3つのMIR motifを有する、23kDaの蛋白質の分泌蛋白質であると考えられている。癌においては乳癌において予後との関連が報告されているが、詳細な機能はわかっておらず、薬剤の感受性に対する関与は報告されていない。そこでSDF2の耐性解除標的分子としての妥当性を評価するため、1. Hsp72とSDF2の結合確認、2. Hsp72機能阻害下でのSDF2の発現量の変化、3. SDF2機能阻害によるオキサリプラチンに対する耐性解除、について検討した。その結果、Hsp72機能阻害によりSDF2の発現低下が認められ、SDF2はHsp72に依存的であった。オキサリプラチン耐性株のSDF2機能阻害を行い、オキサリプラチンを作用させることで、有意な細胞死の増加が認められた。しかしながら、感受性株においては細胞死の増加は認められなかったことから、SDF2はオキサリプラチン耐性に深く関与している可能性が示唆された。
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Monoclon Antib Immunodiagn Immunother
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PLOS ONE
Int J Oncol
巻: 43 ページ: 1985-91
10.3892/ijo.2013.2135