研究課題/領域番号 |
24651003
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
下野 綾子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30401194)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 植生変化 / 写真解析 |
研究概要 |
近年、世界各地の高山帯で植物群集の変化が報告されるようになった。これらの変化は過去の記録があるからこそ検出できるのであり、多くの高山地域では変化の有無を判断する科学的な調査が不足している。この不足を補えるのは、唯一過去に撮影された写真であり、写真は調査記録に代わる客観的な記録となりえる。そして過去に撮った写真と最近撮った写真の比較ができれば、植生の変化を検討することが可能となる。本研究では写真を活用した植生変化の解析手法を確立することを目的とする。 初年度である平成24年度は、公益社団法人日本山岳会やマスメディアとの協働で、撮影年月日の分かる山岳写真約2000枚を収集し、データベースを作成した。昔の記録として万人が活用できるよう、ウェブサイト(http://mountain-photo.org/)で公開した。山岳名や撮影年月日で検索できるほか、地図上で写真を探すことができ、閲覧者が写真を投稿することもできる。 これら過去の写真のうち木曽駒ヶ岳の風衝草原と八甲田毛無岱の湿原で同じものを取り直し、過去と現在の写真比較から植生変化の定量化を試みた。新旧の写真画像上で、同一地点と思われる基準点を複数選定し、この基準点をもとに新写真に過去写真を投影する幾何補正を行い、植生の変化している領域を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は主に写真収集と写真のデジタル化と情報整理を行う予定であった。予定通り撮影年月日の分かる山岳写真を2000枚以上収集し、データベースを作成し、ウェブサイト(http://mountain-photo.org/)で公開した。北アルプス、南アルプス、中央アルプス、大雪山といった山脈に加え、苗場山、飯豊山、八甲田山などの東北の山々等、全国各地の写真が寄せられた。 その一部の写真を対象に最新写真撮影を行い植生変化の比較を行い、次年度より主体となる写真の画像解析による植生変化の定量的比較手法の確立へ向けて足掛かりを得た。
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今後の研究の推進方策 |
最新写真撮影:昨年に収集した過去に撮影された写真をもとに、同じ季節・同じ場所で最新撮影を行う。最新撮影においては、レンズの歪データが測定された校正済みのカメラを使用する(次のオルソ化作業のため)。 写真のオルソ化:植被の有無や植生の違い(ササ原、広葉草原、低木帯等)を目視判読し、変化が認められた場所については、以下の手順により写真の歪みを取り除いた正射投影画像を作成し(オルソ化)、地理座標をつける。 植生変化の定量化:植被の有無や異なる植生の領域の輪郭を、GISソフトによりポリゴンで記述し、面積を計算する。新旧写真の値を比較することで植生変化の程度を定量化する。 とりまとめ:植生変化の程度と有意な関係のある立地環境(標高・方位・斜度・気象等)を抽出し、変化の原因・メカニズムについて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費152,386について、現在も市民からの写真の送付が続いているため、写真収集に関する市民への情報発信に要する通信費、および写真の返送に要する通信費、また業者へのスキャン委託費としての使用を予定している。
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