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2013 年度 実施状況報告書

深海底堆積物に残存する化石DNAによる古生態系復元の試み

研究課題

研究課題/領域番号 24651005
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 庸平  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00359168)

キーワード日本海 / 海底堆積物 / 化石DNA / 遺伝子配列決定 / DNA抽出法 / 古環境 / 古生態系
研究概要

「化石DNAの包括的解析手法の確立」として、古環境復元の研究に適しているとされる日本海の堆積物(日本海東縁ガスハイドレード調査MD179にて採取)を用いて、「DNA配列に基づく起源生物の特定」、「生体化石との比較」、「古生態系の復元」を実施した。さらに、「環境変動に呼応した古生態系の変化が化石DNAに記録されているか」を調べた。本研究を実施する際には、堆積物試料およびDNA試料の品質管理(試料の汚染や劣化がないこと)に注意を払った。
①最適条件で堆積物から抽出した化石DNAを対象に、DNA配列に基づく起源生物の特定(PCR→ライゲーション→クローニング→塩基配列の決定→起源生物と産地の特定)を行った。
②「DNA配列に基づく起源生物の特定」の結果を従来の形態により分類された「生体化石の情報」と比較した。
③表層から深部までの連続したコア(海底下8~30メートルの堆積物)を分析して、環境変動に呼応した古生態系の変化が化石DNAに記録されているか調べた。
結果、海底下8~30メートルの堆積物(約3千~10万年前に堆積)から、抽出した化石DNAを分析(配列決定)し、生体化石としても分析されている海洋性プランクトンの珪藻や放散虫の他、陸上の植物由来の化石DNAを検出することに成功した。古環境復元の研究に適しているとされる日本海の堆積物(日本海東縁ガスハイドレード調査MD179にて採取)を用いて、堆積した年代によって、異なる生物由来の化石DNAが検出されたことから、化石DNA解析によって過去の生態系の復元や古環境復元できる可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度に、再現性のある「化石DNAの包括的解析手法の確立」として、日本海海底堆積物から抽出した化石DNAを解析し、環境変動が知られる最終氷期についての生態系の復元を行うことができなかったため、他の深度の試料を用いて再解析を行う必要が生じた。
現在、複数の深度(異なる年代に堆積)の堆積物から化石DNAを抽出し解析することに成功しており、おおかた計画の遅れは取り戻しつつある。

今後の研究の推進方策

H25年度に実施できなかった、環境変動が知られる最終氷期の深海堆積物を用いた「DNAの包括的化石手法の確立」を行う。また、研究計画の遅れは、実験補助員等の雇用によって取り戻す、
1)最終氷期を含む複数深度の日本海深海堆積物から、最適条件で化石DNAを抽出する。
2)抽出された化石DNAを対象に、「DNA配列に基づく起源生物の特定(塩基配列の決定→起源生物種との産地の特定)」を行う。
3)「DNA配列に基づく起源生物の特定」の結果と従来の形態により分類された「生体化石の情報」と比較して、化石DNAからのみ取得される古生態系を復元する上で鍵となる情報の有無を結論づける。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に、「化石DNAの包括的解析手法の確立」として、日本海海底堆積物から抽出した化石DNAを解析し、環境変動が知られる最終氷期についての生態系の復元を行う予定であったが、できなかったため、他の深度の試料を用いて再解析を行う必要が生じた。
次年度の研究費の仕様計画は、遅れを取り戻すために実験補助員を雇用する。研究試薬や消耗品の購入に加えて、成果公表のための学会発表や論文投稿を促進するために使用する。

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公開日: 2015-05-28  

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