古環境復元は、主に脂質バイオマーカー、生体化石の形態による分類および化石に含まれる化学成分・同位体分析によって行われきた。本申請では、海洋堆積物中の鉱物や固体有機物に保存されている化石DNAに着目し、堆積物中の化石DNA抽出法と次世代シーケンサーを用いた手法の確立と、分子系統解析による環境指標になる生物種の特定によって、古環境復元が可能になる新たな手法開発を目指した。結果、表層から深部まで連続した日本海海底下堆積物(約3千~10万年前)から、生体化石で寒冷期の指標になる珪藻や温暖な気候を示す植物の化石DNAの検出に成功し、化石DNA解析が海洋および陸域の生態系復元にも適応可能である事を示した。
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