研究課題
本研究では、東日本大震災により海洋への大量流出が危惧され、長期間生物に蓄積して健康リスクを脅かす残留性有機汚染物質および微量元素に注目し、その生物汚染の暴露実態解明を通して長期モニタリングが必要な物質群を選別・特定することを目的とした。平成25年度までに実施した研究により、ネズミイルカ(Phocoena phocoena)およびイシイルカ(Phocoenoides dalli)のPOPs(PCBs等)・POPs候補物質(PBDEs・HBCDs)の蓄積レベルに震災前後の変化は認められなかった。また、魚類試料を分析した結果、既存POPs・POPs候補物質・微量元素(Pb, Hg, Cd等)のうち、PCBs・PBDEsおよびCd・Asなど一部の重金属の濃度が震災後に高い傾向を示した。平成26年度は、炭素・窒素の安定同位体比から魚介類の食物網構造を解析し、震災前後におけるPCBsおよびPBDEsの生物濃縮性の変化を検証した。その結果、栄養段階が3以下の魚類においてPCBs・PBDEs蓄積レベルが震災後に有意な増加を示し、震災時に流出したこれらの化学物質が栄養段階低次の魚類に暴露・蓄積したと推察された。将来的に高次栄養段階生物に濃縮が進む可能性も考えられるため、これらの物質については調査の継続が必要と結論される。また、リン酸エステル系難燃剤・ベンゾトリアゾール系UV吸収剤については、魚類中濃度は震災後に一時的な上昇を示したがその後震災前と同等のレベルまで回復した。すなわち、震災時にこれら物質が流出したため一時的に濃度上昇したものの、比較的分解しやすく生体内半減期が短い性質を有することからその後低減傾向を示したものと解析された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Current Analytical Chemistry
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Journal of Chromatography A.
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http://kanka.cmes.ehime-u.ac.jp/category/achievements