研究課題
本研究では、海底下という、広大かつ未知領域の大きい環境を対象とし、現場環境条件から導き出される基質誘導をアクセスの扉とした機能遺伝子発現解析(SIGEX:Substrate Induced Gene Expression)を応用し、環境条件を鍵として環境微生物の未知機能に迫ることを目的とした。この目的を実現するため、環境試料からのDNA抽出のステップから、ゲノムライブラリーの作成、得られたクローンのスクリーニングに至る各ステップについて詳細な検討を行った。まず、ライブラリー作成のためのDNA抽出については、物理的な細胞破砕を行った後にも多数の細胞が残存していることが明らかとなったため、抽出法の効率化を行い、試料中に存在する微生物の60-80%程度からDNAを抽出することに成功し、論文として発表した。また、無酸素条件でも緑色蛍光タンパク質によるスクリーニングが可能なベクターを構築した。ライブラリー作成のステップにも最適化を施し、目標の10倍以上、構成形質転換体のバリエーションが100万を超え、1ライブラリーあたり5Gbp~180Gbpの遺伝子断片を有するライブラリーの構築を成し遂げた。このライブラリーについて、断片未挿入遺伝子の割合を可能な限り低くした結果、存在割合が極めて低い誘導遺伝子断片でも検出が可能なシステムを実現することができた。また、南海トラフ掘削試料を用いて作成したライブラリーからはハロゲン応答遺伝子群を取得、脱ハロゲンに関連する可能性のある遺伝子群を得て論文として発表した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件)
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