過去数十年にわたる我が国の気候変動の実態を明らかにした研究例はほとんどない。そこで東北地方の湖に堆積した年縞堆積物を利用し、過去約60年にわたる中国の砂漠起源のダストに記録された偏西風の卓越場の南北変動(南に卓越すると北日本は寒く、北に卓越すると北日本は暖かい傾向)について明らかにすることを目的として研究を実施した。秋田県一ノ目潟湖の堆積物の石英分析の結果、1960年代前半、1970年代後半から1980年代前半にタクラマカン砂漠からのダスト供給量がゴビ砂漠からの供給量に比べて増加していたことがわかった。このようなダスト供給源の変動は、十年規模の偏西風経路変動に伴って生じたと考えられる。
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