研究概要 |
安曇野市の「住宅用雨水貯留施設設置補助金」制度を活用して雨水貯留タンクを設置した一般家庭(約100戸)に対して、安曇野市との連携によりタンク内の貯留雨水の定期的採水への協力を要請したところ、40戸43箇所の協力が得られた。 採水は6、8、10月の3回実施し、COD(化学的酸素要求量)、pHを測定した。細菌学的評価として、大腸菌群および従属栄養細菌の菌数検査を実施した。レジオネラ属菌については、濃縮/熱処理後に定量培養に供すると同時に16S rRNA遺伝子におけるレジオネラ属菌の特有領域を標的としたPCR法による検出を実施した。さらにPCR法陽性についてはL.pneumophilaに特有のmip遺伝子を標的としたPCR法を実施した。 CODは6、8、10月の採水において1~10mg/Lで、約半数が1mg/Lであった。pHは3.6~7.0と偏りがあったが、各家庭では3回の測定を通してほぼ一定であった。 1mLあたりの大腸菌群菌数は、6月が0~1,000(平均40)、8月が0~1,100(平均80)、10月が0~960(平均38)であった。1mLあたりの従属栄養細菌数は、6月が1,000~19,000,000(平均720,000)、8月が55,000~22,000,000(平均4,200,000)、10月が1,000~52,000,000(平均2,000,000)であった。 レジオネラ属菌の分離培養は、6月に1検体からの検出のみであった。PCR法によるレジオネラ属菌の検出では、6、8月は43検体中各12検体(27.9%)、10月は17検体(39.5%)が陽性であった。そのうちL.pneumophila特有のmip 遺伝子によるPCR法により、6月は12検体中10検体(83.3%)、8月は12検体中5検体(41.6%)、10月は17検体中4検体(23.5%)が陽性であった。
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