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2012 年度 実施状況報告書

安曇野における水資源有効活用としての雨水貯留水の生物学的・医学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 24651024
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関信州大学

研究代表者

小穴 こず枝  信州大学, 医学部, 助教 (60115334)

研究分担者 川上 由行  信州大学, 医学部, 教授 (90283275)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード健康影響評価 / 雨水貯留水
研究概要

安曇野市の「住宅用雨水貯留施設設置補助金」制度を活用して雨水貯留タンクを設置した一般家庭(約100戸)に対して、安曇野市との連携によりタンク内の貯留雨水の定期的採水への協力を要請したところ、40戸43箇所の協力が得られた。
採水は6、8、10月の3回実施し、COD(化学的酸素要求量)、pHを測定した。細菌学的評価として、大腸菌群および従属栄養細菌の菌数検査を実施した。レジオネラ属菌については、濃縮/熱処理後に定量培養に供すると同時に16S rRNA遺伝子におけるレジオネラ属菌の特有領域を標的としたPCR法による検出を実施した。さらにPCR法陽性についてはL.pneumophilaに特有のmip遺伝子を標的としたPCR法を実施した。
CODは6、8、10月の採水において1~10mg/Lで、約半数が1mg/Lであった。pHは3.6~7.0と偏りがあったが、各家庭では3回の測定を通してほぼ一定であった。
1mLあたりの大腸菌群菌数は、6月が0~1,000(平均40)、8月が0~1,100(平均80)、10月が0~960(平均38)であった。1mLあたりの従属栄養細菌数は、6月が1,000~19,000,000(平均720,000)、8月が55,000~22,000,000(平均4,200,000)、10月が1,000~52,000,000(平均2,000,000)であった。
レジオネラ属菌の分離培養は、6月に1検体からの検出のみであった。PCR法によるレジオネラ属菌の検出では、6、8月は43検体中各12検体(27.9%)、10月は17検体(39.5%)が陽性であった。そのうちL.pneumophila特有のmip 遺伝子によるPCR法により、6月は12検体中10検体(83.3%)、8月は12検体中5検体(41.6%)、10月は17検体中4検体(23.5%)が陽性であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

安曇野市の「住宅用雨水貯留施設設置補助金」制度を活用して雨水貯留タンクを設置した一般家庭(約100戸)に対して、タンク内の貯留雨水の定期的な採水への協力を要請したところ、約半数(40戸)におよぶ協力が得られた。このように多くの協力を得られたのは、安曇野市との連携が図られたことによるものであり、さらに雨水を有効に安全に利用したいという高い意識の住民が多いことが背景にあると考えられる。
春(6月)、夏(8月)、秋(10月)の3回の採水において、COD、pHの測定、細菌学的評価として大腸菌群の菌数、従属栄養細菌数、レジオネラ属菌の定量培養とPCR法による検出を実施した。
実施計画では、分離された大腸菌群および従属栄養細菌の菌種レベルまでの同定を行う予定であった。しかし、検出菌数が多数の為に菌種同定までを行うことは時間的、人的、経済的に難しく、菌数測定をするに留まった。
レジオネラ属菌に関しては、分離培養による検出数が3回の採水を通して1検体と少なく、それに比べてPCR法での陽性率が高かった。PCR法では死菌を検出した可能性はあるが、レジオネラ属菌が存在している、あるいは、いたことは確かなことと考えられた。しかし、貯留雨水中の菌数は少なく、健康被害に対する影響は少ないと考えられたが、レジオネラ肺炎の原因菌としての分離頻度が高いL.pneumophilaがPCR法により高率に検出されていることは、注意を要すると考えられた。
季節による細菌菌数の変動と気温・天候等の気象データ(安曇野市穂高)、地形等との関連性等については、現在、解析中である。

今後の研究の推進方策

安曇野市の雨水貯留タンクを設置している家庭の雨水貯留水の細菌学的汚染状況を引き続き継続調査する。気温や天候等の気象条件、細菌学的汚染状況の年次的変動について評価する。
安曇野市の雨水貯留水には、従属栄養細菌以外にレジオネラ属菌による汚染の可能性が危惧される。雨水貯留タンク内から検出される細菌による健康被害の防止策として、ナノテクノロジーを活用して新規に開発されたセラミック複合剤「e+(アースプラス)」を利用した細菌汚染制御法について評価検討を行う。細菌汚染制御に関する実験的評価として実際に適応させる前段階として、雨水貯留タンクと類似した環境下での汚染細菌(特にレジオネラ菌)の制御状況を、実験的に評価する。適切な素材、セラミック複合剤「e+(アースプラス)」のコーティング分量や制御効果発現の至適条件、制御効果継続期間等に関する検討を実施する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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