1990年代のケニア西部の高地におけるマラリア流行とインド洋ダイポールモード現象が関わっていることを明らかにするため、ダイポールモード現象の指標であるダイポールモード指数およびエルニーニョ指数との関連を時系列解析法を用いて検討した。その結果、高地では1990年代にマラリア患者数とダイポールモード指数との相関が高く、ダイポールモード現象がマラリア流行に影響を及ぼしたと考えられた。一方、ビクトリア湖周辺の平坦地においてはマラリア患者数とダイポールモード指数との相関は明らかでなかった。インド洋から運ばれる湿った大気が高地の降雨量に影響を及ぼし、マラリア媒介蚊の発生に関与していると考えられた。
|