生産者・消費者・分解者からなり、高い再現性と系の安定性を特徴とするホールシステムであるマイクロコズムを用いて、遺伝子組換え細菌を導入した場合の消長および土着生物の挙動から生態系影響評価を試みた。測定・分析項目としては、構造パラメータとして生物相の個体数計測、機能パラメータとしてDO測定によるP/R比(生産/呼吸の比)とした。遺伝子組換え細菌のみならず、バイオレメディエーションにおけるトップダウン/ボトムアップによる生態系制御の観点から、一次捕食者である原生動物繊毛虫類Cyclidiu m glaucoma、最上位捕食者である後生動物貧毛類Aeolosoma hemprichiを添加導入した場合の影響評価についても検討した。さらに、生産者である緑藻類Chlorella sp.および糸状藍藻類Oscillatoria sp.を添加導入した場合についても同様に影響評価を試み、データの蓄積を図った。 並行して、組換え遺伝子の拡散に関する数式シミュレーションおよび遺伝子組換え細菌の増殖に関する数式シミュレーションの開発を進め、培養実験にて得られたデータを逐次シミュレーションに反映させていった。 最終的には、遺伝子組換え細菌および組換え遺伝子の環境中での動態をシミュレートすることができる数理解析モデル式を確立し、数理モデルと培養モデルのハイブリッド化によるモデルエコシステムを用いた環境影響評価試験手法の高度化を図ることを目指して検討を行った。
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