河川水や湖沼水といった陸水中の溶存態放射性セシウムの微量迅速分析手法について、通水法およびパッシブサンプリング法を確立した。 河川水や湖沼水中の放射性セシウムの従来の分析手法は数十~100Lの水を分析室に持ち帰り、加熱濃縮し、ゲルマニウム半導体検出器で最長80000秒程度測定しなければならない。確立した通水法では、20Lの試料を持ち帰り、試料を放射性セシウムを選択的に吸着するセシウムラドディスクに自動連続加圧通水することで数時間から一日で濃縮が可能となった。さらに、濃縮したディスクをウェル型のNaIシンチレーションカウンターによる一時間測定で、約10mBq/Lの低濃度の137Csを測定できた。また、ディスクを現場に一か月程度浸漬させることで、ディスクにオンサイト濃縮させ、ディスクをNaIシンチレーションカウンターで測定するパッシブサンプリング手法でも数mBq/L~約20mBq/Lの低濃度の137Csを測定できた。パッシブサンプリングによる137Cs分析手法の確立は世界で初めての成果である。 最後に、関東地方の陸水約20か所を測定し、137Cs汚染分布を把握した。その結果、2013年でも100mBq/Lを超える河川があることが明らかとなった。
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