研究課題/領域番号 |
24651035
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松八重 一代 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374997)
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研究分担者 |
鎗目 雅 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30343106)
城山 英明 東京大学, その他の研究科, 教授 (40216205)
村上 進亮 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40414388)
馬奈木 俊介 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70372456)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | リン / 資源ガバナンス / 国際情報交換 / アジア |
研究概要 |
リン酸肥料は、食糧生産に欠かせない存在であるが、近年、リン鉱石が枯渇傾向にあり、世界中でリン資源の需給が逼迫している(Abelson, 1999, Vaccari, 2009)。2008年のリン鉱石価格高騰を契機として、国内外でリン資源に関する関心が急速に高まっている。欧州、豪州、米国ではすでに国際ネットワーク形成が積極的にすすめられているが、これらの海外リン研究においてはアジアの視点と、未利用リンの再資源化技術に関わる視点、及びリンのライフサイクル全体を統合的に扱うという視点が大きく欠けている。アジアにおけるリン資源に関する情報(マテリアルフロー)、技術情報(回収、リサイクル技術)、システム解析を通じた資源供給可能性、将来の需要予測等の情報や制度的規制的措置の選択肢に関する情報を統合的に整理して可視化することで、アジアにおけるリン資源問題に関する関係者の認識を高め、また、関係者と協議しつつ実行可能なアジアにおける国際的リン資源ガバナンスのシステム設計・提示を目指す。 本研究ではリン資源管理、有効活用に向けて国内におけるリンのマテリアルフロー分析を行い、リン資源の需給量と未利用資源中のリンの量と質を明らかにした。また貿易統計をもとにリンの国際フローを明らかにするとともに、輸入食料の需要による隠れたリン需要も明らかにした。さらにリンに関する国際ワークショップを企画運営し、アジア各国(中・韓・台・越・タイ)のリン資源に関わる研究者と意見交換を行い、国際的な視点でのリン資源ガバナンスについて知見を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンのマテリアルフロー分析ならびに産業連関モデルとの接続による資源循環解析はほぼ計画通り進めることができた。また国際貿易に伴うリンのフローについての解析ならびに、食糧需要に伴うライフサイクル視点から見た隠れたフローについても解析を進めることができた。ワークショップ開催にともない、アジア、欧州、米国におけるリン資源ガバナンスに関心をもつ研究者との交流を行い、本研究の進捗は予定通りであると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに明らかにしたリンのマテリアルフロー情報を基盤として、ネットワーク解析を行い、国際貿易に伴うネットワーク構造を明らかにするとともに、ステークホルダー抽出と、資源ガバナンスを考えるにあたり、どこにキーファクターがあるのかを明らかにする。また平成24年度に開催したワークショップ(1st and 2nd International workshop on Phosphorus Governance from Asian Perspective)をベースに、更なる研究交流をすすめ、リン資源ガバナンスのシステム設計・評価につなげる。 また本研究代表者ならびに分担者ら(松八重・城山・鎗目)はリン資源リサイクル推進協議会(会長 大阪大 大竹久夫教授)ならびにリン資源戦略会議のコアメンバーであることから本研究課題での出力を積極的に提供、意見交換を進め、実行可能なアジアにおける国際的リン資源ガバナンスのシステム設計・提示を目指す。 さらに昨年度開催したアジアにおけるリン資源ガバナンスに関わる国際ワークショップのコミュニティとも積極的に意見交換を進め、研究総括につなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度に引き続き国際貿易に伴うリン資源フローのネットワーク構造を明らかにするとともに、ステークホルダー抽出、資源循環の鍵を握る技術の洗い出しを進める。 そのために情報収集のための統計情報整理、ヒアリング、インタビュー、また国内外のリン資源ガバナンスに関心を持つコミュニティとの意見交換・情報発信のための旅費等に研究費支出を行う予定である。
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