研究課題/領域番号 |
24651040
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研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
山中 武彦 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (50354121)
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研究分担者 |
中谷 至伸 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (30354088)
大澤 剛士 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (40554332)
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キーワード | 一般参加型調査 / 自動同定システム / 携帯電話 |
研究概要 |
携帯端末(主要携帯電話機種およびスマートフォン各機種)で撮影した写真をメール送信することで、生物地理情報が収集できる携帯調査データベースを構築し、これと連動する自動同定システムを組み合わせた自然観察ツールを開発した。このツールを使って複数の研究・教育機関で、自然観察会でのテスト運用を行ったところ、携帯調査データベースに送られてきた写真の電子情報から、写真が撮られた場所・日時を特定し、データベースに格納しているトンボの生態情報をマッチングさせて、出現可能性の高い種のランキングを返すことに成功した。 さらに、琉球大学の立田晴記准教授と共同で、写真からトンボの形態(輪郭)や色情報を切り出して判別分析を行うアルゴリズムの開発を行った。輪郭の切り出しについては、2値峰化法を使い背景と対象物の切り分けに成功した。また色情報をRGBに分解して判別分析を行うモジュールの開発を行ったが、写真の状態による色の偏りが大きく判別精度は低かった。さらに輪郭の形自体を評価する楕円フーリエ判別モジュールを作成したが、撮影された撮影者の指や手を対象物から除外することができず、機能しなかった。 モジュールの統合を試行し、最適組み合わせのテストを行ったところ、色情報と生態情報を組み合わせたアルゴリズムが、もっとも予測精度が高かった。一方、実運用上は生態情報のみを使って演算の高速化を図り、ユーザ側に最終的な判断を任せる方がよいことが示された。さらに熟練したユーザには、同定候補を表示する機能すら煩わしいケースがあり、単純に登録できるインターフェイスや簡易検索だけできる図鑑機能など、調査の内容や参加者の熟練度によって、柔軟に対応する必要があることが示された。
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