研究課題/領域番号 |
24651042
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
三浦 富智 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20261456)
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研究分担者 |
葛西 宏介 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (50400148)
吉田 光明 弘前大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60182789)
中田 章史 弘前大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70415420)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 被ばく線量評価 / バイオマーカー / メタボロミクス |
研究概要 |
1.試料調整. Ex vivo にて0,3,5Gy のX 線を照射したヒト末梢血リンパ球をPHA 存在下で0~48 時間刺激培養し、培養上清及び細胞内容物を回収する。細胞内容物の抽出法として、50%メタノール固定後、凍結融解を繰り返した。 2.プレカーサーイオン及びプロダクトイオンの測定. UPLC-TOF-MS/MS システムを用いて培養上清中および培養リンパ球内の代謝物を網羅的に測定した。今回の候補物質は高極性化合物であることから、疎水性カラムへの吸着が弱く、一般的な疎水逆相カラムを用いた解析は困難であった。一方、高極性分子の保持が良好であるHILICカラムでは、イオンの分離が良好で、細胞内容物を対象としたポジティブモードで多数の代謝物が検出された。 3.変量解析.解析ソフトウェア”MarkerView”を用いてメタボロミクスのプロファイリングを行い、照射線量間の変化を解析した。細胞内容物の解析の結果、被ばく群、非被ばく群の分離は可能であったが、照射線量および培養時間依存性のグルーピングは困難であった。この原因の一つとして、解析時の定量性があげられる。各測定時(繰り返し測定を含む)のイオン強度が安定しておらず、本解析に有用な内部標準物質が必要となることが示唆された。 4. マーカー候補の選択と最適培養時間の決定.照射線量依存性が認められた代謝物の選択が困難であったため、内部標準を加えた解析を再度行い、本小課題を達成する予定である。 5. 被ばく線量依存性代謝物の同定.今回席で候補となった代謝物のプレカーサーマス及びフラグメント解析から推定される化合物を検索した結果、目的とする代謝系の物質は見つからず、再検討が必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞培養上清を対象としたメタボロミクスでは、得られるイオン数が少なく、また濃縮した場合には含有する塩の影響が危惧されることから十分な解析が困難であった。 また、細胞内容物については、イオン強度が測定間で大きく異なることから、内部標準物質が必要となることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
細胞培養上清を対象としたメタボロミクスでは、得られるイオン数が少なく、また濃縮した場合には含有する塩の影響が危惧されることから十分な解析が困難であった。今後、脱塩法の検討を加え、細胞培養上清の解析を行う必要がある。 また、細胞内容物については、イオン強度が測定間で大きく異なることから、内部標準物質が必要となることが明らかとなった。今年度の解析で、カラム選択、測定モード、HPLC条件が固定されたので、次年度の早期に内部標準を選択し、再測定を行う予定である。 さらに、次年度については、上記の検証に加え、以下の課題を実施する。 1.被ばく線量依存性マーカーの同定と放射線感受性の影響.染色体変異との相関解析、並びに放射線感受性個人差の影響解析、放射線感受性の個体差が及ぼす影響について健常人ボランティア末梢血を用いて解析する。ボランティア末梢血の使用については弘前大学大学院医学研究科倫理委員会で承認済みである。 2.被ばく線量依存性マーカーの有用性評価.測定法の最適化と簡易測定法の検討、測定法の最適化:UPCL-MS の条件及びMS メソッドを最適化、簡易測定法の検討:多施設での測定を可能とするため、質量分析以外の測定法を検討
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の主な使用用途としては、UPCLカラムの購入、血液培養及び資料調整用試薬、染色体解析試薬購入を予定している。また、カラムへの非吸着物質除去のためのスイッチングバルブを必要に応じて購入する予定である。
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