研究課題/領域番号 |
24651053
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
友澤 森彦 慶應義塾大学, 法学部, 助教 (80581868)
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研究分担者 |
佐藤 淳 福山大学, 生命工学部生物工学科, 講師 (80399162)
坂本 信介 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教(Research Associate) (80611368)
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キーワード | 環境放射線影響 / 集団遺伝学 / マイクロサテライト / 放射性セシウム濃度 / ミトコンドリアDNA / アカネズミ |
研究概要 |
福島第一原子力発電所の事故以降、環境中に放出された放射性物質の生態系に対する影響は日本および国際社会の重大な関心事であるが,低線量の放射線の遺伝的影響やその野外におけるモニタリング方法については未解明の部分が多い.本研究では事故によって環境中に放出された放射性物質が野生哺乳類の集団に対してどのような影響を与えるかを,アカネズミ(Apodemus speciosus)を材料に生態・遺伝的側面から多角的に評価し,有効なモニタリング方法を確立する事を目的としている. 計画の2年目にあたる平成25年度は,平成24年度から引き続き汚染地域3地点および非汚染地域で野生ネズミを採集し,外部形態計測および解剖を行った.現在これらの個体について筋肉および骨における放射性セシウムの体内蓄積量を測定している.同時にこれらの個体の頭部骨格標本を作製し,臼歯摩耗度および体重/全長から月齢の推定を行っている.尿中の8-OHdG濃度の測定を行い平成24年度のデータと合わせて解析したところ,調査地間における有意な差は検出されなかったが,個体ごとの放射性セシウム蓄積量と尿中8-OHdG濃度に相関が見られた.さらに全ての捕獲個体について肝臓および脾臓組織片からDNAを抽出し,ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライトの遺伝的多様性を調査したが,現在のところ汚染度の異なる調査地間での有意な差は見られていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングおよび放射能濃度測定,生態学的および遺伝学的な影響評価などの本研究の根幹をなす部分については平成24年度と同様概ね順調に進展している.しかしながら前年度の課題であった新たな指標の開発という点ではまだ有効な結果を得られていないため,引き続き幾つかの指標を試すとともに現時点でサンプル数の確保ができているtotal DNAを用いた指標を検討する必要がある.また,成果の発表の面では十分とは言えない.従って研究全体の進捗状況としては,本計画の目的達成の面では問題ない範囲であるものの,幾つかの点では当初の計画よりやや遅れているため,最終年度はこの点を考慮して進めていく必要があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も汚染地域非汚染地域計5地点においてサンプリングを行い,捕獲個体について解剖および血液やDNAなどのサンプルを採取した後,筋肉骨の放射能濃度を測定する.得られたサンプルは各種項目の検査に用い,放射能濃度や空間線量との相関関係から低線量放射線による影響の評価を行う.特に研究発表の点で当初の計画より遅れが生じているので,これまでに得られたデータを平成24,25年度の結果と合わせて早急に論文にまとめて発表するつもりである.また,平成25年度に新たに検討したglobal DNAメチル化の程度による影響評価は,まだサンプル数が十分ではない.従って,平成26年度はこれまでの項目を継続して検査するとともに,これまでに得られた遺伝学的データからサンプル間の親子関係を推定し,親子間での突然変異を検出することを試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品を計画よりも安く購入できたため.また,分担者が本研究の野外調査に参加する際,他の野外調査の計画と合わせて来たため,旅費が計画よりも安くなったため. 分子生物学実験用消耗品費にあてる.
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