研究課題/領域番号 |
24651057
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
藤井 健太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (00360404)
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研究分担者 |
秋光 信佳 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40294962)
藤井 紳一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (10415739)
加藤 大 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (80533190)
月本 光俊 東京理科大学, 薬学部, 助教 (70434040)
成田 あゆみ 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (50633898)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射光 / 非DNA / ATP / 軟X線 / 生物効果 |
研究概要 |
本研究では、非DNA性の核酸生体分子であるRNA分子が、放射線によって損傷した場合の生体影響を多角的に解析し、どのような生物学的効果を示すかをin vitro およびin vivo実験で検証することが目的である。リボ核酸の一種であるアデノシン三リン酸(ATP)は、生体エネルギー供与物質として多様な生化学反応へエネルギーを供与している。さらに、遺伝情報の仲介物質であるメッセンジャーRNAを合成するための基質でもあるため、遺伝子情報の正確な発現にも重要な働きをしている。そのため、ATPの塩基部位に生じる僅かな分子変異が、このRNA合成にも深く関わり、突然変異や発がんの原因となる可能性がある。そこで、本課題では、DNA以外の分子が損傷を受けた場合に引き起こす生物効果を指標としてATPの生化学機能を網羅的に解析する。 放射線照射によるATP分子の変化に伴った分子変異の分析や生物学的効果の分析を行うためには、未照射試料において分子の分解を抑えることが必要である。さらに、放射線によって生じた分子分解は全体の数%程度以下であることが予想されるため、極微量の分子変化を定量する必要がある。そのために、平成24年度はATP溶液について、放射線を照射しない状態で安定な試料条件を検討した。その結果、溶液状態においてリン酸基の脱離が起こらないTrisバッファーの濃度やATPの濃度の最適化を行うことができた。ATP分子の分解については、質量分析、軟X線吸収スペクトルおよび電気化学分析により行い、生物学的効果については、ATPのルシフェラーゼ活性、および細間情報伝達能力を定量することのできる、P2Y受容体活性により分析を行った。上記の最適条件を用いて、γ線照射あるいは軟X線照射による細胞間情報伝達およびATP分子変異の解析を行い、放射線照射による分子変化の同定や生物学的効果の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は計画時に予定していた放射光を用いた実験及び照射試料の質量分析や電気化学分析による分子構造変異の同定実験について概ね順調に遂行することができた。また、生物学的効果を検証する実験においても実験条件の最適化を行うことができ、試験的な結果について、論文発表や学会発表などを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究について、計画に基づいて概ね順調に研究が進んでおり、今後の研究は研究計画に従って、放射光実験、および照射試料の分析実験による評価、そして、照射試料の生物学的評価を行い論文や学会などに発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究は主に試験的な実験を行った。その結果に基づいて次年度以降は、より定量的な実験データの分析を行う。最終年度はその定量的な評価をまとめ、論文や学会等での発表を行う。また、研究代表者及び分担者らにおいて議論を重ね、次年度には、最新の実験技術を駆使することにより、試料溶液に対する放射光照射および照射中の電気化学分析を行うことを検討している。そのため、当初予定していた分析装置の高度化を一部中止して、新たな装置の開発に向けるため、一部の助成金を繰り越して次年度に執行する。
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