• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

DNA修復を利用したエピミュータジェンのスクリーニング

研究課題

研究課題/領域番号 24651063
研究機関大阪府立大学

研究代表者

八木 孝司  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80182301)

研究分担者 川西 優喜  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70332963)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードエピジェネティクス / エピミュータゲン / 環境化学物質
研究概要

DNA修復酵素であるO6メチルグアニンーメチルトランスフェラーゼ(MGMT)の発現を欠損するヒトHeLaMR細胞と(MGMT遺伝子プロモーターの複数のCpGサイトのシトシンの5位がメチル化されている)、その発現が回復したHeLaNURを用いた。緑色蛍光レポータープラスミドpCMV-EGFP1を処理するO6-メチル化剤であるN-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)の至適濃度を決定した。そのためにMNUの処理濃度を0.1 mM~2 mMの間で変化させてpCMV-EGFP1を1時間37 ℃で処理した。処理後のpCMV-EGFP1を精製後、HeLaMR細胞に導入し翌日より AzaC 10μMを24時間処理し、緑色蛍光を発する細胞の割合をイメージングサイトメーターで測定した。これによってMNUの濃度は0.1-0.2 mM処理のとき、緑色蛍光強度が細胞の修復MGMT活性を反映することがわかった。
MNU処理したpCMV-EGFP1を導入したHeLaMR細胞に、代表的エピミュータゲンであるAzaC(1~40μM)を処理し、24時間後に緑色蛍光を発する細胞の割合が最も多いAzaC濃度を決定することを試みた。しかしMGMT活性を回復する細胞の割合が少なく、この方法ではアッセイができないことがわかった。
そこで細胞生物学的にエピミュータゲン活性を定量的に測定する方法の樹立を試みた。代表的エピニュータゲンであるAzaC(1~30μM)、AzadC(1~10μM)処理し、その後通常培地で10日間培養後、NMU 1 mM 1時間処理し、MNU抵抗性コロニーの出現頻度を求めた。その結果、出現頻度は処理濃度依存的にそれぞれ40倍、70倍上昇することがわかった。この方法は簡便ではないが、定量性に優れたエピミュータゲン活性測定法であるといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究実施計画(1~4)のうち、1(MNU至適濃度決定)、2(AzaC至適濃度および至適処理時間)、3(緑色蛍光レポータープラスミドpCMV-EGFP1を用いたエピミュータゲンアッセイ)は実施を終えた。しかし3の結果は、緑色蛍光レポータープラスミド用いたアッセイの樹立が困難を示唆する結果であった。そのため、研究実施計画4(MGMT転写量)は実施しなかった。その代わり、細胞生物学的にエピミュータゲン活性を定量的に測定する方法の樹立を試み、良好な結果を得た。そのため、達成度はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

1 HeLaMR細胞に化学物質(エピミュータゲン)を処理し、1 mM MNU抵抗性細胞の出現頻度によって、化学物質のエピミュータゲン活性を定量的に測定する方法を確実なものとする。そのため代表的エピミュータゲンであるAzaC(1~15μM)およびAzadC(1~30μM)を細かい濃度間隔で細胞に処理し、エピミュータゲン活性の化学物質処理濃度依存性を求める。
2 ヒストン脱アセチル化阻害剤、トリコスタチンA(Trichostatin A)、酪酸(n-Butyrate)、アピシジン(Apicidin)、バルプロ酸(valproic acid)などがエピミュータゲン活性を有していないか、1で樹立した系で調べる。
3 環境化学物質、亜ヒ酸(selenite)、ビスフェノールA(Bisphenol A)などがエピミュータゲン活性を有していないか、1で樹立した系で調べる。
4 上記の処理によって得られたHeLaMUR細胞における、MGMTの遺伝子発現の活性化、およびMGMTプロモーターの脱メチル化を、分子生物学的方法で確かめる。

次年度の研究費の使用計画

25年度支出予定額は、様式F-6-1の表の次年度使用額(B-A)1,036,341円+25年度交付予定額1,950,000円=2,986,341円
内訳は間接経費450,000円+直接経費2,536,341円
25年度直接経費の内訳は、物品費1,286,341円+人件費1,000,000円+旅費150,000円+その他費100,000円
物品費は試薬代、プラスチック・ガラス小器具代に使用する。人件費は実験補助者謝金1名分に使用する。旅費は学会発表および研究打ち合わせに使用する。その他費は学会参加費に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Adduct formation and repair, and translesion DNA synthesis across the adductsin human cells exposed to 3-nitrobenzanthrone2013

    • 著者名/発表者名
      Masanobu Kawanishi, Yoshihiro Fujikawa, Hiroshi Ishii, Hiroshi Nishida, Yuka Higashigaki, Takaharu Kanno, Tomonari Matsuda, Takeji Takamura-Enya, Takashi Yagi
    • 雑誌名

      Mutation Research

      巻: 印刷中 ページ: 未定

    • DOI

      10.1016/j.mrgentox.2013.03.005

    • 査読あり
  • [学会発表] 紫外線照射下のフェナレノンが誘発するDNA損傷と突然変異の解析2012

    • 著者名/発表者名
      東垣由夏、川西優喜、高村岳樹、八木孝司
    • 学会等名
      日本環境変異原学会第41回大会
    • 発表場所
      静岡市グランシップ
    • 年月日
      2012-11-29

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi