研究課題/領域番号 |
24651068
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 次雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90091694)
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研究分担者 |
殷 しゅう 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40271994)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自動車排ガス浄化 / ソルボサーマル反応 / 酸化セリウム / 混合金属酸化物 / 酸素ストレージ機能を / ナノ粒子 / 耐熱性 / 三元触媒 |
研究概要 |
ソルボサーマル反応により、化学組成および形態を精密制御したセリア触媒を調製することで現行の自動車排ガス浄化三元触媒の性能を大幅に凌駕する革新的自動車排ガス浄化触媒の創製を図ることを目指して研究を行った。 ソルボサーマル反応によりセリア基複合金属酸化物ナノ粒子を合成し、酸素ストレージ機能および耐熱性について検討し、CeO2にCe4+よりイオンサイズの小さなSn4+, Co2+, Co3+, Fe3+, Al3+等の金属イオンを固溶すると酸素ストレージ機能および耐熱性を向上でき、特にZr4+とSn4+やCo3+のコドーピングが効果的であることを明らかにした。また、Ce4+よりイオンサイズの大きなCa2+のみを単独でドーピングすると酸素ストレージ機能が低下するが、イオンサイズの小さなZr4+とコドーピングすると酸素ストレージ機能を大幅に向上できることを明らかにした。 本研究で得られた酸素ストレージ機能の優れたセリウムージルコニウムースズ混合酸化物、セリウムージルコニウムーコバルト混合酸化物およびセリウムージルコニウムーカルシウム混合酸化物をガンマアルミナおよびパラジウムと複合化し、三元触媒特性を調べたところ、セリウムージルコニウムーカルシウム混合酸化物が最も優れた三元触媒活性を示し、標準試料より優れた特性を有することが分かった。 なお、ソルボサーマル反応により、非セリア酸化物ナノ粒子を合成し、酸素ストレージ機能についても検討したところ、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ等が、セリア系混合酸化物よりはるかに優れた酸素ストレージ機能を有することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソルボサーマル反応により、化学組成および形態を精密制御したセリア触媒を調製することで現行の自動車排ガス浄化三元触媒の性能を大幅に凌駕する革新的自動車排ガス浄化触媒の創製を図ることを目指して研究を行い、CeO2にCe4+よりイオンサイズの小さなSn4+, Co2+, Co3+, Fe3+, Al3+等の金属イオンを固溶すると酸素ストレージ機能を向上でき、特にZr4+とSn4+やCo3+のコドーピングが効果的であることを明らかにした。また、Ce4+よりイオンサイズの大きなCa2+のみを単独でドーピングすると酸素ストレージ機能が低下するが、イオンサイズの小さなZr4+とコドーピングすると酸素ストレージ機能を大幅に向上できることを見出した。さらに、酸素ストレージ機能の優れたセリウムージルコニウムースズ混合酸化物、セリウムージルコニウムーコバルト混合酸化物およびセリウムージルコニウムーカルシウム混合酸化物をガンマアルミナおよびパラジウムと複合化し、三元触媒特性を調べたところ、セリウムージルコニウムーカルシウム混合酸化物が最も優れた三元触媒活性を示し、標準試料より優れた特性を有することを明らかにしたことより、おおむね順調に研究が進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出した酸素ストレージ機能の優れたセリア基混合金属酸化物ナノ粒子をガンマアルミナおよび貴金属(白金、パラジウム、ロジウム)と複合化し、三元触媒特性を明らかにする。また、ソルボサーマル反応により混合金属酸化物の形態および分散性を制御し、三元触媒特性に及ぼす影響を詳細に検討し、自動車排ガス浄化機能の優れた触媒調製条件を明らかにする。 酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ等の非セリア酸化物は、セリア基複合酸化物より著しく大きな酸素ストレージ機能を有することを見出したことから、これらの酸化物をセリア基混合金属酸化物と複合化し、三元触媒機能の飛躍的な向上を図り、セリウムや貴金属使用量の削減が可能であることを実証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、回転式ソルボサーマル反応装置を増設し、迅速に試料作製を行うことを予定し、そのためにに必要なテフロン内貼り耐圧反応容器の購入費を大く計上していたが、回転式ソルボサーマル反応装置の納品が遅れたため、テフロン内貼り耐圧反応容器の消耗が少なく、次年度へ繰り越す研究費が生じた。 次年度は、最初から回転式ソルボサーマル反応装置を有効利用できることから、研究費を主にソルボサーマル反応による試料作製に必要なテフロン内貼り耐圧反応容器と試薬および触媒活性評価実験に必要なメノウ乳鉢、ガラス器具等の物品費として使用し、他に、研究発表・調査研究旅費および資料収集旅費として400,000円、研究成果投稿料として100,000円程度使用する予定である。
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