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2013 年度 実績報告書

環境に負荷を与えない、ケイ酸を利用した、放射性SrやCsの除去方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24651072
研究機関東京海洋大学

研究代表者

高橋 美穂 (田中 美穂)  東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (30236640)

キーワードケイ酸 / 錯形成 / セシウム / ストロンチウム / シリカゲル / テトラエトキシオルトケイ酸 / 多量体
研究概要

土壌中に存在するセシウム(Cs)とストロンチウム(Sr)の溶解挙動が異なり、Srはケイ酸と[SiO3(OH)Sr]-という安定な錯体を形成し、土壌から抽出されることは明らかになった。しかし、Csに関しては、pH6-7による1mMケイ酸水溶液20mLによっては、土壌1gに10-5g添加したCs全体の1%しか回収されず、水のみ、他の有機酸(クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、酒石酸、酢酸)1mM水溶液による抽出では、Csの抽出は5-6%であった。さらにケイ酸水溶液に硝酸アルミニウムを加えることでCsの回収率が4%にもどることを示した。以上の結果から、Csは土壌成分のケイ酸となんらかの相互作用をして「土壌に接着する」効果を持つのではないかと考えた。
シリカゲルの固体をCsClとSrCl2水溶液と24時間、振とうさせた。この場合にはシリカゲルの加水分解過程とケイ酸の水溶液の平衡を考える必要がある。そこで、ケイ酸の1量体から成る溶液として、テトラエトキシオルトケイ酸(TEOS)を加水分解して、ケイ素1mMの水溶液を調製し、ケイ酸とSr、CsについてFAB-MSおよびケイ酸の定量から検討した。シリカゲルの溶解とTEOSの結果から、Srはケイ酸と[SiO2(OH)2Cs]-を形成した。また、4、5量体として環状と直鎖状の分子が検出された。しかし、Csでは、[SiO2(OH)2Cs]-は微少なピークで検出された。加えて、4、5量体として環状と直鎖状の分子が顕著に検出された。特に、環状の4量体がCsでは相対的に多かった。シリカゲルを塩溶液で加水分解させ溶解した時だけでなく、TEOS溶液から充分平衡に至った時にも4,5量体が多く存在した。したがって、CsはSrよりもケイ酸との錯形成能が劣るだけでなく、溶液平衡において、4量体、5量体を形成しやすいこともあきらかになり、この多量体の生成が実質的なケイ酸とCsの錯形成に使用できるケイ酸の量を減らし、土壌中のケイ酸などに吸着を促進させるのではないかと考えた。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Concerning the comments “Silicon Species in Seawater” by Professor Exley and Professor Sjoeberg2014

    • 著者名/発表者名
      Miho Tanaka*, Kazuya Takahashi, Masao Nemoto and Naho Horimoto
    • 雑誌名

      Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy

      巻: 117 ページ: 822

    • DOI

      10.1016/j.saa.2013.09.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CE-ESI-MS/CE-ICP-MSに よる溶液中のアルミニウムのスペシエーション2014

    • 著者名/発表者名
      中本大輔,田中美穂
    • 雑誌名

      分析化学

      巻: 63 ページ: 383-390

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ESI-MSによる溶液中のチタンの同定と酸化挙動の評価2014

    • 著者名/発表者名
      龍前以緒,田中美穂
    • 雑誌名

      分析化学

      巻: 63 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 材料科学・工学におけるバイオフィルム分析とその 重要性2014

    • 著者名/発表者名
      兼松秀行,田中美穂
    • 雑誌名

      分析化学

      巻: 63 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] レーザーアブレーション/ICP-MSによる マンガン団塊の年輪構造に含有する微量元素の局所定量分析2014

    • 著者名/発表者名
      平田純一, 田中美穂
    • 雑誌名

      分析化学

      巻: 63 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 海洋への製鋼スラグからのケイ酸の溶出挙動2014

    • 著者名/発表者名
      田中美穂,平田純一,中本大輔,寺田愛,龍前以緒,髙橋茉莉子,生川智啓,高橋和也,相本道宏
    • 雑誌名

      鉄と鋼

      巻: 100 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 蛍光標識法を用いたシス-1,4-ポリイソプレンの酸化劣化の測定法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      榎牧子,渡部百合,田中美穂
    • 雑誌名

      分析化学

      巻: 63 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ESI-MSを用いた鉄(III)のスペシエーション:加水分解と有機配位子の錯 形成2013

    • 著者名/発表者名
      卜部達也、田中美穂
    • 雑誌名

      材料とプロセス(CAMP-ISIJ)

      巻: 26 ページ: 660-661

    • 査読あり
  • [学会発表] Multi-elemental analysis across annual ring structure of ferromanganese nodule by Laser ablation/ICP-SF-MS2014

    • 著者名/発表者名
      Junichi Hirata, Miho Tanaka
    • 学会等名
      The 38th International Symposium on Environmental Analytical Chemistry – ISEAC38
    • 発表場所
      Lausanne, Switzerland
    • 年月日
      20140617-20140620
  • [学会発表] FAB-MSとESI-MSによるケイ酸化学種の溶存状態に関する情報:1族のイオ ンと2族イオンからわかる結合性の違い2014

    • 著者名/発表者名
      田中 美穂,仲田 顕識,原田 葉乃,高橋 和也
    • 学会等名
      日本分析化学会 第74回分析化学討論会
    • 発表場所
      日本大学工学部 郡山
    • 年月日
      20140524-20140525
  • [学会発表] LA-ICP-MSによるストロンチウム同位体比測定を目指した短時間での同位体比測定の    検討2014

    • 著者名/発表者名
      平田純一,田中美穂
    • 学会等名
      日本分析化学会 第74回分析化学討論会
    • 発表場所
      日本大学工学部 郡山
    • 年月日
      20140524-20140525
  • [学会発表] Cesium Fixing to soil by silicic acid2013

    • 著者名/発表者名
      Miho Tanaka and Kazuya Takahashi,
    • 学会等名
      International Society for Tace Element Reseach in Humans
    • 発表場所
      Keio Plaza Hotel Tokyo, Shinjyuku, Tokyo
    • 年月日
      20131118-20131122
  • [学会発表] Cr(VI);Modified Extraction from Soil by Ascorbic acid2013

    • 著者名/発表者名
      Itsumi Terada , Miho Tanaka
    • 学会等名
      International Society for Tace Element Reseach in Humans
    • 発表場所
      Keio Plaza Hotel Tokyo, Shinjyuku, Tokyo
    • 年月日
      20131118-20131122
  • [学会発表] Removal of Selenium from Wastewater Using Ti3+ as a Reducing Agent2013

    • 著者名/発表者名
      Io Ryumae, Miho Tanaka
    • 学会等名
      International Society for Tace Element Reseach in Humans
    • 発表場所
      Keio Plaza Hotel Tokyo, Shinjyuku, Tokyo
    • 年月日
      20131118-20131122
  • [学会発表] ESI-MSを用いた鉄(III)のスペシエーション:加水分解と有機配位子の錯形 成2013

    • 著者名/発表者名
      卜部達也、田中美穂
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会 第166回秋季講演大会
    • 発表場所
      金沢大学、石川
    • 年月日
      20130917-20130919
  • [学会発表] 福井県沖の表面海水のケイ酸の分布と季節変動2013

    • 著者名/発表者名
      田中美穂、高橋和也、高垣守、鮎川航太、宮田克士、金田充
    • 学会等名
      日本分析化学会第62年会
    • 発表場所
      近畿大学、大阪
    • 年月日
      20130910-20130912
  • [学会発表] 溶液中のアルミニウム化学種の分析のための手法の開発:CE/MS2013

    • 著者名/発表者名
      中本大輔、田中美穂
    • 学会等名
      日本分析化学会第62年会
    • 発表場所
      近畿大学、大阪
    • 年月日
      20130910-20130912
  • [学会発表] LA-ICP-MSから得られるマンガン団塊の定量値の評価:局所分析によるICP-MS の定量値からの検討2013

    • 著者名/発表者名
      平田純一、田中美穂
    • 学会等名
      日本分析化学会第62年会
    • 発表場所
      近畿大学、大阪
    • 年月日
      20130910-20130912
  • [学会発表] SI-MSを用いたケイ酸と2価の遷移金属の錯形成に関する評価2013

    • 著者名/発表者名
      有我洋香、中本大輔、平田純一、田中美穂
    • 学会等名
      日本分析化学会第62年会
    • 発表場所
      近畿大学、大阪
    • 年月日
      20130910-20130912
  • [学会発表] Observation of large hydrolytic aluminum polyoxocation (Al26 and Al30) using electrospray ionization mass spectrometry2013

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Urabe and Miho Tanaka
    • 学会等名
      33rd International Conference on Solution Chemistry
    • 発表場所
      Kyoto Terrsa, Kyoto, Japan
    • 年月日
      20130707-20130712
  • [学会発表] 河川から海洋におけるケイ酸の循環と化学種

    • 著者名/発表者名
      田中美穂
    • 学会等名
      日本分析化学会環境分析研究懇談会 平成25年度第2回講演会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 招待講演
  • [備考] 高橋美穂(田中美穂)の研究室のホームページ

    • URL

      http://www2.kaiyodai.ac.jp/~mihotnk/

URL: 

公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

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