研究課題/領域番号 |
24651078
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉敷 哲生 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30294028)
|
研究分担者 |
森 裕章 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10294026)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 環境材料 / 繊維廃材 / バイオマス / 複合材料 / 環境保全技術 |
研究概要 |
リサイクル率がわずか8%である繊維廃材を再生資源として活用し,さらに800万トンが放置され未利用の天然資源であり抗菌特性を有する竹資源に着目し,人類の健康・安全に供する抗菌特性を有し環境負荷を低減するバイオマス複合材料の開発が本研究目的である.本年度は繊維廃材と樹脂との界面結合を向上させるべく,無水マレイン酸による表面処理を施した熱可塑性繊維(ポリプロピレン繊維)を界面改質材として利用し,繊維廃材との複合化を試みた.その成形条件を選定し第1次試験片の製作を行った.材料の熱特性を明らかにするため示差走査熱量測定と熱重量測定を行った結果,一般的にポリプロピレンの熱分解温度は480℃付近であるが,繊維状にすることで表面積が大きくなり熱分解が急激に短縮化されることがわかった.また,600℃程度まで昇温するとほぼ全て分解し,無水マレイン酸を含浸させることでポリプロピレンの重量割合は減少しており,酸素と反応し残炭量が減少したと考える. また,強度保証の実験設備の選定も行い,製作した試験片を用いて層間せん断試験,破面観察,3点曲げ試験を実施した.層間せん断試験の結果,無水マレイン酸処理ポリプロピレンを用いることで層間せん断応力は2.7倍向上している.また,破面観察の結果より,無水マレイン酸が融解し繊維同士を接着させており,破断後の繊維露出が減少している様子が確認できる.さらに,曲げ弾性率ならびに強度ともに力学的特性が向上するとともに,変動係数は低減しばらつきが抑制できることを明らかにした.これらの結果について,平成25年度に日本繊維機械学会やICCM-19(第19回複合材料国際会議)で学会発表を行う予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた第一次試験片を作成している.特に,繊維廃材と樹脂との複合化において重要となる界面結合の問題の解決を図るため,無水マレイン酸による表面改質に着目した結果,試験片の作成ならびに熱特性の把握を可能としている.さらに,層間せん断試験や3点曲げ試験の結果より,曲げ弾性率や強度等の力学的特性の向上が図れたことから,研究としておおむね順調に進展しているものと判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策として,引き続き第一次試験片を用いた力学的特性評価の実施,ならびに無水マレイン酸の界面処理材の含有量の影響等の評価に着手する.さらに,生分解性樹脂の繊維化(ナノファイバー化)にも挑み,繊維廃材と樹脂との界面結合のさらなる向上を目指す.併せて,リサイクル材の評価項目として重要な抗菌特性に関して,抗菌特性試験の実施も行う予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|