研究課題/領域番号 |
24651088
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
珠坪 一晃 独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 室長 (80293257)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 省エネルギー型排水処理技術 |
研究概要 |
有機性廃水から電気としてエネルギーを回収できる微生物燃料電池の廃水処理に関する技術開発を目的として、実排水組成による微生物燃料電池の連続排水処理特性評価を行った。 試験は、それぞれ処理槽の液有効容積120 mlを持つ一槽型微生物燃料電池を2台使用した。2台の装置共にアノード電極にはカーボンフェルト、カソード電極にはエアカソードを使用した。排水には廃糖蜜を使用し、電気伝導度確保等を目的としてリン酸緩衝液等を含む培地に所定濃度(500 mgCOD/L)になるように希釈して供試した。処理は、前段の微生物燃料電池の処理水が後段微生物燃料電池に流入するプラグフロー型で行った。結果として、HRT各13 時間(全HRT 26 時間)の条件下で、全体での平均COD 除去率79.8%、クーロン効率 11.6%、出力密度は、前段MFC で0.55 W/m3、後段MFC では0.53W/m3 を発揮する事が可能であった。 また、上記の装置でHRT一定(全体で24時間)のもと有機物濃度変化によって容積負荷を変更し、その影響を評価した。低容積負荷では有機物濃度不足によって生じる装置の出力密度の低下が顕著であった。一方で高容積負荷時では、メタン生成による電子の損失の影響が大きくなることを明らかとし、微生物燃料電池における最適な容積負荷条件設定に関する知見を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、スタック型の微生物燃料電池装置を作成し、排水処理試験においてその出力特性、排水処理特性の把握を行う事を主な目的としているが、装置の作製(2槽型、直列処理)とその性能評価が順調に実施できており、当初の計画通り研究が進行している。また排水の装置への流入方式の検討については、容積負荷の違いが処理性能に与える影響評価として、別の実験方法を用いて評価を行った。また、電極に付着した微生物の群集構造についても、解析を実施している。以上の事から、おおむね研究は順調に進行していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、前年度に得られた知見を元に装置の改良を施すと共に実排水への適用を行い、装置の構成や運転条件の最適化を図る。具体的には、実排水処理(低~中有機物濃度の食品加工産業排水を想定)へのStMFCの適用を行い、発電性能、処理性能等の評価により開発微生物燃料電池システムの有効性を評価する。また、前年度に得られた有機物分解特性等をもとに微生物燃料電池装置の改良を行い、排水処理能力及び発電性能の向上をはかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の内訳として、水質分析や微生物群集構造の解析に必要な試薬の購入(消耗品)、水質分析に関わるアシスタントスタッフ雇用経費、成果発表旅費などを計画している。
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