研究課題
植物色素アントシアニンは、初期にGratzelらによって色素増感太陽電池への利用が試されたように、吸収波長が広く、モル吸収係数が大きい上、レアメタルも必要とせず、安価で安全な色素増感太陽電池色素として大きな可能性を有する。しかし、現状では変換効率が1%以下と低く、実用化には何らかのブレイクスルーが必要である。本研究では、アントシアニンを用いた高効率な色素増感太陽電池の創成を目的に、従来全く検討されていなかった、複雑で安定な分子会合型の青色アントシアニンを用いて、太陽電池セルを作成し、酸化チタンや電解質との相互作用の精密化学解析および計算化学を用いて構造と変換効率の格段の向上を目指した。さらに、メチル化ケルセチン類、およびメチル化シアニジン類を合成し、これらの発電性能を評価した。ケルセチンの完全メチル化によりメチル化ケルセチンを合成し、これを選択的に脱メチル化することでメチル基の数が2-5個のケルセチン類を調製した。これらを還元することにより、それぞれから対応するメチル化シアニジンへの変換反応を行なった。得られたメチル化ケルセチン類、メチル化シアニジン類を用いて、色素増感太陽電池セルを作成し、性能を評価した。HOMO-LUMOのエネルギー順位を測定(計算)し、高効率化のためには発色団の8位への電子供与基の導入が効果的と考えられたため、当該分子についても設計・合成した。現在性能の評価を進めている。
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