恒温恒湿槽および風洞を用いた乾燥実験を行い,以下の知見を得た.粒径の異なる赤玉土を恒温恒湿実験で用いると粒径が細かくなるにつれて定率乾燥期間が長くなり,表面温度の低減効果が期待できる.一定の風速が流れている条件で,セラミック3mmと15mmの条件で風洞を用は定率乾燥期間が長く,また材料内部の水分は粒径が細かい方が十分に利用できた.これは粒径が細かくなる方が材料の表面積が増加して水分輸送が活発になるからである.空隙内部構造を変化させた時に,空隙の割合が大きいほど定率乾燥が長い期間見られた.ビーズの揮発によりできた気孔に自由水が含まれるためである. 単一顔料,単一層塗膜において,顔料の種類,粒径,塗膜厚さ,基盤の反射特性が塗膜全体の反射特性に与える影響を調べた.さらにこれらの塗膜に関して可視光域,近赤外域,日射領域全域に分けて半球反射率を算出し,高日射反射率塗膜としての性能評価を行った.今回解析を行ったサンプルの中では粒径0.3[μm]のTiO2粒子を顔料として含む塗膜が最も高い性能を示した.続いて,任意の性能を持つ塗膜設計への応用を目的として複合顔料及び多層構造塗膜の解析を行った.複合顔料を用いることで単一顔料塗膜では見られなかった分光特性が見られ,また組み合わせる種類の違いによる波長特性の多様性も確認できた.一方,今回行った解析では多層構造を持たせることによる分光特性の多様性向上はあまり見られなかった.最後に,本解析手法の解析結果の評価を行うためにサンプルの制作及び計測を行った.この計測結果との比較では,解析手法では球形顔料を含む塗膜であれば粒径の制御が行えれば妥当な解析が行えるが,非球形顔料を含む塗膜では波長依存性の正確な再現は困難であることが分かった.
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