アオサ、ワカメの有効利用方法として、海藻多糖ウルバン、アルギン酸の機能化を検討した。特にウルバンについては化学修飾や修飾後の機能などについての研究がたいへん少ないので、化学修飾方法の検討とその機能性材料への応用が期待される。アオサからの抽出で得られたウルバンは①ウレタン化、②キトサンとのポリイオンコンプレックスの2種類の方法で材料へと導いた。 ①ウレタン化:ウルバンウレタンおよびアルギン酸を種々のジイソシアネートで化学修飾することで、ウルバンウレタン、アルギン酸ウレタンを合成した。特に、ウルバンについては化学修飾や機能性材料への応用研究事例が少ないため、ウルバンウレタンの機能研究は重要である。水質汚濁物質の除去を行うモデル反応として、重金属イオンの吸着除去実験を行った。アルギン酸ウレタン、ウルバンウレタンともに、水中の重金属イオンを除去可能であることが示された。 ②キトサンとのポリイオンコンプレックス:ウルバンとキトサンによるポリイオンコンプレックスはグルタルアルデヒドで架橋することにより多糖の溶出が抑制できることが示された。これらのゲルは、水溶液中の重金属イオン(Cu,Coイオン)を除去することを示した。ウルバン-キトサンゲルと比較してアルギン酸-キトサンゲルのほうが高い除去率を示した。アルギン酸はエッグボックスモデルで表されるキレートサイトがあることから、ウルバンよりも高い重金属イオン吸着除去を示したものと考えられた。 人工透析に使用される膜や膜の修飾体への応用も期待し、上記の材料を使った尿素除去実験を行った。アルギン酸-キトサンゲル、ウルバン-キトサンゲルともに250mg/Lの尿素溶液から50%程度尿素を吸着除去した。一方、人工透析中にアルブミンが透析膜に吸着すると患者の脱力感を感じるため、吸着除去されないことが望ましいことから、アルブミンの吸着についても調べた。
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