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2012 年度 実施状況報告書

マイクロバンチング不安定性の起源を探る電子ビームの縦方向位相空間の直接観測

研究課題

研究課題/領域番号 24651096
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東北大学

研究代表者

濱 広幸  東北大学, 電子光理学研究センター, 教授 (70198795)

研究分担者 原 徹  独立行政法人理化学研究所, 先端ビームチーム, チームリーダー (00280727)
渡川 和晃  独立行政法人理化学研究所, 先端ビームチーム, 先任研究員 (00342816)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード高輝度入射器 / マイクロバンチング不安定性 / チェレンコフ光 / 非線形反射鏡 / 縦方向位相空間
研究概要

本研究では、電子バンチ内の電子分布の揺らぎが自らのコヒーレント放射によって増幅されるとされている、マイクロバンチング不安定性の起源を実験的に明らかにすることを目的として、入射器ビームの縦方向位相空間の電子分布の直接観測手法を確立することが当初目標であった。通常行なわれるような放射光あるいは遷移放射の観測で電子ビームの特性を測定する方法では、2MeV程度あるいはそれ以下の入射器ビームでは可視域近くの光が放出されないために非常に測定が困難である。一方、エアロジェルなどの屈折率が小さい薄膜からのチェレンコフ光は可視域波長も多く放出され、またその放出角度と荷電粒子の速度に強い相関があるため、放出角度を放出時間を同時に測定すれば縦方向位相空間を直接観測することになる。研究では独自に設計した非線形反射鏡を製作して、放出角度の情報を位置情報に変換する光学系を開発している。この非線形反射鏡の形状が球面と放物面を組み合わせたものであるが、この鏡面の製作が著しく難しいことが分かった。技術的に大きな問題はないが、研究で要求する鏡面サイズと精度を得るには特殊な研磨装置から開発しなくてはならないことが、専門メーカーとの議論で判明した。通常の製造法では精度が悪く、必要とする角度ー位置分解能が得られない。従って、より簡便に製造できる大きさの鏡面形状を計算し直す作業を行なった。この光学系は真空の外に置く仕様にしたが、これによって高時間分解能のストリークカメラとの組み合わせで電子銃で制せされたビームの縦方向位相空間の直接観測を、より効率的に行なえると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

特殊な非線形鏡面を持つ反射鏡の製造が極めて困難であることが判明したため、鏡面設計を再度行なう必要がある。チェレンコフ光の放出角度に依存した直線に焦点を結ぶ反射光学系設計には、複雑なレートレース計算が必要であり、今後これに2、3ヶ月の時間を要するため、研究遂行にやや遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

非線形反射鏡の鏡面設計の目処は発って来ているので、早急にこれを終了し実機の製作を始める。又、当初チェレンコフ放射体であるエアロジェルを真空容器中に入れる予定だったが、破損などが起きた場合電子銃の高周波空洞を汚してしまう可能性が高い事から、これを真空容器の外に置くことにした。真空と大気の遮断は薄いベリリウム窓を用いることとした。ベリリウム窓を通過の際に電子が散乱を受けるので、これを最小限にとどめかつ真空保持が可能な厚さの評価をおこなっている。これらの真空容器およびエアロジェルの手配を出来る限り早期に行ない、年度内には直接ビームを用いた縦方向位相空間観測実験を開始する。チェレンコフ光の測定にストリークカメラを用いることができるようになったため、放射の時間と角度情報の同時測定が可能であり、一定の結果を得ると期待している。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、当初計画していた非線形反射鏡の製作を次年度に延期する事によって生じたものであり、延期した非線形反射鏡および関連機器に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。従って次年度で購入する主要物品は以下のようである。
LFC(線形化焦点チェレンコフ)カメラ用真空槽 一式 1,600,000
非線形反射鏡 一台 500,000
エアロジェルチェレンコフ放射体 一式 220,000
このうち非線形反射鏡は仕様変更があったため、当初想定価格よりやや高いと見積もっている。

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公開日: 2014-07-24  

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