X線自由電子レーザー(FEL)などの加速器挿入光源と、超短パルスレーザーとの同期計測の時間分解能向上を目的に、電気光学(Electro-optic: EO)計測を用いたタイミングモニタ装置の試作・性能評価を行った。近年、線型電子加速器と挿入光源を組み合わせたFELを用いた研究が盛んに行われているが、FELと同期した超短パルスレーザーは、一般にはサブピコ秒程度の時間揺らぎ(ジッター)を持つため、レーザーとの同期実験において時間ジッターを高い分解能を評価する手段と非破壊タイミング計測装置が待ち望まれていた。 SCSS試験加速器において、周波数変調法を用いたEO計測装置を評価し、標準偏差200フェムト秒未満の時間分解能で、非破壊タイミング計測できることがわかった。また、周波数変調法を用いたEO計測装置では、時間分解能が限界であること、同期実験を行うには、時間ジッター計測だけでなく、レーザートリガへの時間フィードバックにより時間ドリフトを抑えることが有効であることが分かった。 時間フィートバック機構を備えたEO計測装置を導入し、2012年7月レーザー高次高調波をシードしたコヒーレント極端紫外(EUV)-FELパルス増幅を8時間以上達成することに成功した。これは本装置の有効性を示しており、本装置を用いてコヒーレントEUV-FELパルスによる希ガス原子のイオン化収率の計測実験を行い、非コヒーレントなSASEパルスとのイオン化機構の違いについて明らかにした。 また、時間分解能の高いEO計測装置を構築ため、空間変調したEO計測装置の組立、試験を行い、テラヘルツ光源を用いて、空間イメージを分解能良く計測できることを確認した。理研播磨研究所の電子加速器より発生するテラヘルツ波のEO計測を平成24年度内に行うことが出来なかったが、本方法を用いた電子ビームの性能評価への応用を今後の課題として行う。
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