研究課題
本研究の目的は、テラヘルツ自由電子レーザー(FEL)を電子ビームのマイクロバンチ生成機に用いて、大強度単色光コヒーレント放射の発生を目指すものである。FELでは、コヒーレント光と電子ビームのマイクロバンチが協調して発展する。FEL発振に使用した電子ビームがウイグラー下流の偏向磁石を通過する時に、従来の光源の限界を超える大強度・高輝度の単色コヒーレント光とその高調波が発生することが期待できる。この実験を行うために必要な機器は、ウイグラー下流の偏向磁石からコヒーレント放射を取出すように改造した真空チェンバーと、テラヘルツ波を外部に引き出す真空窓、発生したコヒーレント光を厚さ3mのコンクリート壁を貫通して測定室に導く真空排気した光輸送路である。真空窓と真空チェンバーは昨年度までに準備した。昨年度から本年度にかけて波長70~80 um付近で最大となるFELの高強度動作を実現した。この電子ビームを用いたコヒーレント放射発生の準備として、電子のビームダンプ表面に蛍光板を取り付けてFEL発振中の電子ビームサイズを測定した。その結果、FEL発振時の電子ビームは、電子ビームを空気中に取り出すタンタルフォイル窓より大きくなることが分かった。これは、FEL発振による電子ビームの平均エネルギー低下だけではなく、エネルギー広がりが予想より大幅に大きいことを意味する。
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Nucl. Instr. Meth. A
巻: 773 ページ: 97-103
http://dx.doi.org/10.1016/j.nima.2014.10.071