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2012 年度 実施状況報告書

X線領域での無相関計測実現可能性調査

研究課題

研究課題/領域番号 24651104
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関大阪府立大学

研究代表者

岩住 俊明  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90203380)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際研究者交流
研究概要

本研究の目的であるX線領域での無相関計測実現に向け、高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設で共同利用に供されているマッハ-ツェンダー型干渉計を利用して予備実験を行った。
通常は明視野像の画像コントラストを上げるため、第1結晶での分岐比率が1:1になるよう調整する。しかし本研究ではX線の分岐比率を積極的に変化させ、被写体がある光路への分岐比率を下げるようにする必要がある。入射角・発散角制御による分岐比率の制御を行うことを計画していたが技術的難度が高かったため、予備実験では薄膜による吸収を用いた簡易的な分岐比率変化による測定を試みた。多様な分岐比率での明視野像・暗視野像の測定を行い、現在データ解析中である。高エネルギー加速器研究機構でマッハ-ツェンダー型干渉計を管理している研究者との打ち合わせおよび実験のため、研究代表者および研究協力者が何度も高エネルギー加速器研究機構に通い、予備実験は計画通りに遂行する事が出来た。
当該分野の最新情報を収集するため、研究代表者および研究協力者が国内外の学術会合に参加した。参加した学術会合は次の通り;12th International Conference on Electrionic Spectroscopy and Structure, 18th International Conference on Ternary and Multinary Compounds, 日本物理学会第68回年次大会。現在実現しているX線自由電子レーザーによる空間コヒーレンスを用いた実験の話はいくつかあったが、時間コヒーレンスを用いる研究提案等は見あたらなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既存のX線干渉計を用いた予備実験は終了しているが、そのデータが当初予想以上に膨大になりデータ処理に手間取っている。定性的な解析はできており狙っていたデータが取れている事は判っているが、定量的な解析ができなければ新しいX線干渉計の設計に必要な詳細な情報まで至らない。解析に時間がかかっている要因として、そのデータ処理用として購入予定であったコンピュータの出荷が遅れていることが挙げられる。現在は既存で旧式のコンピュータを用いて時間をかけながら解析を継続しているところである。
データ処理そのものがまだ完了していないため、交付申請書に記載した実験後の検討事項(干渉計の構造や精度に関する詳細な検討)にまでたどり着いていない。時間コヒーレンスを用いるX線干渉計の基本設計は出来ているが、既存の干渉計の問題点を洗い出し新しい干渉計の設計時にフィードバックすることが出来ていないためまだ実際に試作するわけにはいかない。
当該分野の情報収集は順調に進んでいる。現時点では時間コヒーレンスを使った実験提案はないようで、未だ我々のアイディアの先進性が維持されていると考えている。

今後の研究の推進方策

すでに行った予備実験のデータ解析を進める。データ処理用として購入予定であったコンピュータの出荷見込みが立っていない為、とりあえず既存で旧式のコンピュータで出来るところまで解析を続ける。新しいX線干渉計の試作は予備実験のデータ解析が済んでからになる。
予備実験時に本研究の発展的目標実現にとって致命傷になる可能性のある問題点を発見している。分岐比率の差を大きくすると、X線干渉計(で得られる結果)が非常に不安定になる事である。この結果は、予備実験の結果が理論予測通りになっているかどうかとは別に、本研究が発展的目標としている放射線被爆の無いX線撮像法実現を阻害する要因となる。当初の研究計画には無かった事であるが、X線干渉計の安定性に関する詳細な検討が必要であることがはっきりしてきた。時間コヒーレンスを用いる新しいX線干渉計の設計・試作よりも、X線干渉計の安定性に関する実験的研究を重点的に今後推進する予定である。
当該分野の情報収集は今後も継続して進める予定である。特にXFELOに関する研究報告を聞く事が出来そうな学術会合には、国内外問わず研究代表者および研究協力者が積極的に参加するつもりである。

次年度の研究費の使用計画

予備実験のデータ解析を進めるため、大容量のデータを処理できるコンピュータを調達する。
新しいX線干渉計の試作よりも、X線干渉計の安定性に関する詳細な検討が必要であることがはっきりしてきたことに対応し、既存のX線干渉計を安定させるための打ち合わせ及び実験的研究を行うため、研究代表者および研究協力者は共同利用研究機関への出張を頻繁に行う予定である。
また、当該分野の情報収集、特にXFELOに関する研究報告を聞く事が出来そうな学術会合には、国内外問わず研究代表者および研究協力者が積極的に参加する。具体的にはXFEL2013 (X-ray Free Electron Laser School and symposium), IXS2013 (International Conference of Inelastic X-ray Scattering), VUVX2013 (International Conference of Vacuum Ultraviolet and X-ray Physics)、日本物理学会、日本放射光学会等である(但しVUVXは中国での開催であり、日中関係を見極めて参加不参加を決める予定)。

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公開日: 2014-07-24  

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