研究課題
日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)のパラメトリックX線源(PXR)からのコーンビームを用い、試料物質をX線が通過する際に受ける小角散乱を利用したイメージングを試み、これに成功した。実験セットアップは、回折強調イメージング(DEI)と同じであり、屈折の代わりにX線小角散乱(SAXS)の効果をアナライザー結晶における回折曲線の広がりとして検出することができた。実証用の試料として発泡スチロールを用い、X線エネルギー25.5keVで実験を行った。この条件では試料による散乱角は数マイクロラジアンであり、SAXSとしては極小角散乱の領域であったが、DEIの測定系で十分検出可能であった。実際、密度が非常に小さくX線の吸収がほとんど無い発泡スチロールで比較的強いコントラストが得られ、吸収コントラストや位相コントラストとは本質的に異なる情報を反映したイメージングであることが確認できた。ギニエプロットからは1ミクロン程度の微細構造に起因すると考えられ、検出器の画素サイズよりも小さな構造の情報がX線像のコントラストとして得られたことになる。また、このSAXSの影響は試料のエッジ部でも強く見られることが分かった。H24年度の成果として、PXRがコーンビームであることを利用した拡大DEI実験において、画像のボケが生じることが確認されていたが、これはエッジ部での散乱によるものと考えられる。小角散乱に着目することにより、伝搬型位相コントラストに伴うエッジ強調効果との違いが明確になったといえる。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Journal of Instrumentation
巻: Vol. 8 ページ: 1-13
10.1088/1748-0221/8/08/C08001
Nucl. Instr. and Meth. B
巻: 309 ページ: 230-236
10.1016/j.nimb.2013.01.025