本研究では、申請代表者らが半導体物性制御用に世界に先駆けて開発した単一イオン注入技術(イオンを1 個ずつ数10nm の精度で注入可能)を応用して、ドーパント原子を生きた細胞に注入し、細胞機能修飾を試みた。具体的には、細胞注入用のイオン注入装置を開発し、筋芽細胞(C2C12)およびがん細胞(HeLa)にAuおよびAsイオンを注入を試みた。その結果、コントロール(未注入)と比較し、細胞活性が変化することを確認した。イオン注入法による細胞活性の変化を観測した、恐らく初の成果である。イオン照射による“損傷”に基づく改質ではなく、イオンを生きた細胞に“注入”し、細胞に物質を導入する新しい手法を提案した。
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