研究課題
アンジュレータは,光源加速器において周回中の電子に周期磁場を印加することで周期運動を行わせ,干渉効果によって放射の単色度と輝度および空間指向性を著しく高める装置である。本研究では非常に高いエネルギーのアンジュレータ放射光(基本波で10keV以上)を生成することを目的として,目標周期長を4mmとする極短周期アンジュレータ磁気回路の要素開発を行った。極短周期磁場の作成のために,新たに多極着磁法(磁気ヘッド等の磁石小片の精密着磁でも使われる)を応用して,着磁方式の開発を行った。ここでは,幅20mm x厚さ2mm x長さ約100mmの板状のNdFeB磁石中に,着磁用パルス電磁石によって,周期長4mm 周期数25の極短周期磁気回路を書き込む方式を確立した。このようにして作成した2枚の板状磁石を互いに対向させることにより,その隙間(磁石ギャップ)の中心軸上に極短周期アンジュレータ磁場を生成することができる。また,この磁気回路は非常に狭いギャップで使用しなければならないので,必然的に,アンジュレータ磁気回路全体を加速器真空中に持ち込む真空封止型の磁気回路として開発した。平成25年度においては,特に着磁用電磁石(着磁ヘッド)の改良・最適化を行い,磁場周期の精度の向上,着磁強度の向上,磁場の均一度の向上を図った。現状で昨年度に比べ約10%の着磁強度の改善を得ている。最終的に狭小ではあるが1.6mmの磁石ギャップ間において約4100-4200Gの極短周期磁場(周期長=4mm)を作成する方法を確立できた。この磁場を持つ極短周期アンジュレータを電子エネルギー2.5GeVの蓄積リングに設置した場合,基本波によって12keV(波長1Å)領域の放射を得ることが可能になる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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