外場印加に応答して流動性が変化する外場部応答性流体を創成するための基礎的知見の獲得を目的として、電場印加状態の電極基板表面近傍における異型複合粒子の集積状態を光学顕微鏡で観察した。分散媒には水を用い、前年度よりも高い粒子濃度でも異型粒子の集積状態を調べた。異型複合粒子としてはダンベル型のものを合成し、ダンベル構造の一方の部位には電場応答性に優れるチタニア球を埋め込んだ異型粒子の集積状態を観察した。 合成したダンベル型複合粒子に電場強度25-125 V/mm、周波数1kHz - 1MHzの交流電場を印加したところ、低電場・低周波数で電極基板上に2次元集積する傾向を示し、高電場・高周波数では基板に対して垂直方向に配向集積することを見出した。その配向集積が観察できる電場強度・周波数帯域はシリカ球内包型のダンベル複合粒子よりも、チタニア球内包型のダンベル複合粒子で広く、チタニア成分を異型粒子の構成要素として取り込むことの優位性を光学顕微鏡観察で示すことができた。また、配向集積するダンベル複合粒子の数は系内イオン強度の影響を強く受け、微量な電解質添加により多くのダンベル複合粒子を配向集積させることができた。また、粒子濃度が高い条件では、電場印加と同一方向の光透過性について調べた。その結果、高い誘電性を示すチタニア球内包型ダンベル複合粒子が分散する系では、シリカ球内包型ダンベル複合粒子分散系よりも、電場に対して俊敏に光の透過性が変化すること示し、表示デバイスとしての応用の可能性を示唆することができた。
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